今年で56回目を迎える国内最大のおもちゃの見本市「東京おもちゃショー」。およそ150の企業が3万5000点の商品を展示している。
中でも今回注目なのは、ソニーが1日に発表したばかりのトイ・プラットフォーム「toio」だ。「リアルな遊びが未来をつくる」をビジョンに掲げ、200人以上の子どもによる体験を重ねて作り込んでいったという。
モーター内蔵の「キューブ」は独自の「絶対位置センサー」でマット上の位置をリアルタイムに検出することができ、コントローラーで操作したり、動きをプログラミングしたりすることで、好きなように動かすことができる。例えばレゴや工作した紙などと組み合わせて遊ぶことが可能なよう小型化され、シンプルなデザインになっている。キューブ同士で相撲をとったり、シューティングのような遊びをしたりと、様々な工夫が可能だ。
すでにネット上でも多くの反響があり、「すごいな。これが子どもの時にあったら何でもできたのになぁ」「発想力豊かな人が使ったら凄く面白そうなことができそう」「おもしろい。いままでのソニーの教育系ガジェットの中でも、特にソニーらしい。動きの精度がすばらしく高い」など、期待の声があがっている。
価格は本体で2万円前後の見込みで、発売は12月1日を予定しており、今月30日まで予約を受け付けているが、初回限定セットはすでに完売している。
ゲーム機以外の「おもちゃ」の販売は13年ぶりだというソニー。「toio」プロジェクトリーダーの田中章愛さんは「自分の作ったおもちゃが主人公になって、主人公としてバトルをしたりゲームができるということが、子どもたちは喜ぶんじゃないかなというところが今回の狙いです」と話す。
好奇心を掻き立てる新時代のおもちゃ「toio」だが、発表にこぎつけるまでには苦労もあったという。
開発が始まったのは5年前。「積み木や人形など、従来のおもちゃにIT技術を合体させた、まったく新しい遊び道具を子どもたちに届けたい」という思いから始まった。しかし、試作段階で大きな問題にぶつかった。動く位置を認識させるため、部屋の天井にカメラを取り付ける必要があったのだ。この方法では製造コストが高すぎるとして、開発陣は製品化を一度断念する。
しかしその後、ソニーは新技術「絶対位置センサー」を開発。このセンサーを「toio」の中に組み込むことで、カメラを使わずとも正確な位置を認識し、まるで生きているような動きをすることも可能になった。コストダウンも可能になり、ようやく製品化に漕ぎ着けたのだ。
「いろいろなものを載せられるデザインにするためには、小型化技術が必要でした。また、ロボット同士がお互いを見てちゃんと位置がわかる、というのはこれまでありませんでした。今回それをとてもシンプルに実現できて、コストも大幅に削減できました」(田中さん)
「『東京おもちゃショー』での反応を見て、涙が出そうな感じでした。5年前、友達との遊びのような感覚で始めたプロジェクトだったのが、ここまで来ることができて感慨深いです」と話す田中さん。今回、あえてシンプルな遊びを紹介しているというが、今後はクリエイターやおもちゃメーカーとコラボし、新たな活用法を模索したいと考えているという。
好調な業績が続くソニー。2017年3月期決算(連結)の営業利益は2887億円、2018年同期の予想は営業利益5000億円と、大幅増益の見通しだ。
田中さんも「たくさんチャレンジできる雰囲気があるので、これからもみんなで夢を共有・実現して、まさにソニー創業者の人たちがやってきたようなことをやっていきたいなと思っている」と意気込んでいる。(AbemaTV/AbemaPrimeより)