所属選手がアイドル的な人気を持ち、“筋肉アイドル”才木玲佳など芸能人が本格的に参戦することでも話題の東京女子プロレスが好調だ。
(激しい場外乱闘となった伊藤と滝川の“アイドル対決”)
6月4日に開催された新宿FACE大会も超満員。ここでは、伊藤麻希vs滝川あずさの“アイドル対決”もマッチマイクされていた。伊藤は先日、中野サンプラザ公演を成功させたアイドルグループ・LinQのメンバー。対する滝川は女子アナになりたくて東京女子プロレスに入団したという謎の経歴を持つが、10年ほど前には地下アイドル・Aime(エイム)として活動していた。
リングでは“奇跡の復活”を果たしたAimeのミニライブも。「19歳と125ヶ月」にしてアイドルオーラ全開だった滝川だが、試合が始まるとLinQのCDを“人質”に取ったり、業界一顔がデカいと言われる伊藤の顔面を集中攻撃したりとエグさを見せる。一方の伊藤も滝川を会場ロビーに追い出し、ドアを閉めきってリングアウト勝ちを狙う頭脳プレー。
アイドルのパブリックイメージを全面的に破壊する、感情むき出しの闘いは両者リングアウトとなり、ともにシングルマッチ初勝利はおあずけとなった。
試合後、再びリングに登場した伊藤は8.26後楽園ホール大会の告知を済ませると怒りの表情に。そのターゲットは、アイドルのグラビアも掲載される雑誌・週刊プレイボーイだった。
2週前にLinQが掲載、先週は女子プロレス特集があった週プレだが、「伊藤は呼ばれてない!」とうのが怒りの原因。宣伝部長としてチケットを500枚売り、LinQ中野サンプラザ成功の立役者にもなった自称スーパーアイドルかつ「女子プロレス界で一番可愛い」選手だけに、プライドが許さなかったのだろう。
過去、『豆腐プロレス』に出演する松井珠理奈にさえ「アイドルがプロレスやるなら先輩の伊藤に挨拶するべき」と挑発し、その勢いで「秋元康、伊藤を『豆腐プロレス』に出せ!」とアピールしただけに怖いものはない。
週プレに関しても「伊藤なら巻頭カラーでいける」と自信満々。「どんな水着だって着るしどんなバナナだってくわえる!」という、屈折したグラビア観を持つ伊藤のクレーム&アピールは果たして実るのか。
(得意技・手ブラツイストでKカップを見せつけるのの子)
グラビアといえば、この大会ではまなせゆうなvsのの子の“巨乳対決”も。ともに芸能活動をしており、この試合は真のグラビアアイドルの座をかけての闘いに。
試合は両者にとってデビューとなる巨乳専門メディア『本当にデカップ』の過去のグラビアを持参したのの子がKカップアタック、手ブラツイストなどで攻撃。まなせのカカト落としを真剣白刃取りのごとくKカップで受け止める場面も。しかし、最後は自ら持ち込んだグラビア(の紙)で足を滑らせ、転んだところに攻撃されて敗北。
そんな試合もありつつ、シリアス路線も充実しているのが東京女子プロレスの魅力だ。この日も山下実優vs瑞希、中島翔子vs才木玲佳と好勝負が続き、メインでは坂崎ユカがデビュー以来無敗のチャンピオン・優宇を下して第3代TOKYOプリンセス・オブ・プリンセスに。フィニッシュの『マジカル魔法少女スプラッシュ』は、スワンダイブからの旋回式ボディプレスという高難易度な空中殺法だった。
(劇的な戴冠を果たした坂崎。小柄だが空中殺法とトリッキーな闘いには目を見張るものがある)
今後はシングルトーナメント『東京プリンセスカップ』、今年2度目の後楽園進出となる8月26日の大一番も控えている。バカバカしさとハイクオリティの両輪で、東京女子プロレスはさらに加速していく。
文・橋本宗洋