2m近い巨体とド迫力の闘いで知られる“大巨人”石川修司の進撃が止まらない。
(ジェイクを下し初防衛に成功した石川。ショートタイツで風格が増した感も)
現在、全日本プロレスを主戦場としているフリーの石川は、4月に伝統のリーグ戦チャンピオン・カーニバルで初出場・初優勝を果たすと、5月の後楽園ホール大会では宮原健斗を下し、三冠ヘビー級タイトルも奪取している。初挑戦での戴冠、それも宮原の長期政権にピリオドを打つ衝撃的な勝利だった。
6月11日には、後楽園大会で初防衛戦。全日本に至宝を取り戻すべく立ち上がったジェイク・リーに対して場外でのジャーマン、トップコーナーからのミサイルキックとハードな攻撃を叩き込んでいく。
ジェイクの粘りに苦しむ場面もあったものの、最後はファイヤーサンダー、ランニングエルボー、そしてジャイアントスラムと怒涛の連続攻撃でフィニッシュ。今回から「僕なりの決意の表れ」と、コスチュームを正統派の象徴とも言える黒のショートタイツに変えた石川は、フリーながら全日本らしい“デカくて強い”レスラーの姿を体現してみせた。
(宮原を下し「ここまできたら三冠、いきたいね」と語った諏訪魔)
試合後には、セミで宮原を下した諏訪魔がリングインし、石川に挑戦表明。インタビュースペースでも「今日も青コーナーでチャレンジャーの気持ちでやった」という諏訪魔は、全日本の重鎮としてどっしり構えるのではなく、あくまで攻めの姿勢でプロレスに取り組んでいる。
この挑戦に、石川も異論なし。チャンピオン・カーニバル開幕戦で敗れているだけに「借りは返す」とコメント。諏訪魔戦での手応えがあったおかげでチャンピオン・カーニバルに優勝できたとも。
全日本マットにおけるスーパーヘビー級頂上決戦とも言える両者の対決。日程はまだ未定だが、石川の狙いは8月27日に開催される両国国技館大会のメインだ。
諏訪魔に勝って両国に進むか、両国で諏訪魔と対戦するか。石川は昨年8月、DDTの両国大会でメインイベントに登場、KO-D無差別級タイトルを獲得している。今年、全日本の両国でメインとなれば「2年連続、別の団体で両国メイン」という快挙を達成することになる。
他団体でもフリーでも、力さえあればチャンスがやってくる現在の全日本マット。そのことで活性化し、観客動員も上り調子だ。そんな勢いのある全日本の“勝負どころ”と言うべき両国大会でメインを張れば、まさに石川の言うように「レスラー冥利」に尽きるだろう。
文・橋本宗洋