菅官房長官が"怪文書みたいな"と一蹴した文書について、文科省が一転再調査することになった。民進党が入手した「国家戦略特区(獣医学部新設)に係る想定問答」という文書や、朝日新聞やNHKなどの取材に現役職員が文書共有を証言したこともきっかけとなり、世論に押された形だ。
さらに民進党が入手した新たな文書(メール)の宛先には、文科省職員の名前やメールアドレスが14人分記載されており、「昨日の内容を共有します」との記述があり、"あの文書"のデータも添付されていた。現役の文科省職員たちからは「今回のメールは書式を見て、一目で本物だとわかった」「今の官邸に不満を持っている人は多い。内部資料はまだ出てくると思う」との証言が出てきている。
前川喜平・前文科事務次官はインタビューに対し「(去年9月)和泉洋人総理補佐官に呼ばれて、訪ねた時にはっきりと『対応を早くして欲しい。総理は自分の口からは言えないから私が代わりに言う』(と言われた)。これは官邸のご意向でもあるんだろうなということは分かった」と証言。安倍昭恵夫人のフェイスブックに掲載された安倍総理と加計氏が一緒に写った写真を示されたことも打ち明けた。
さらに前川氏は野党の厳しい追及について「あまり文部科学省を責めないでください。そうせざるを得ない政権中枢との力関係があると思う」と答えている。
元文部官僚で、前川前文科次官とも長年にわたる親交があるという寺脇研氏は「政治の問題ではなくて、内閣、行政のあり方の問題」と指摘する。
寺脇氏には「彼は教育行政一筋で、文部科学省の省益というよりは、教育の立場から言えばこうなんだ、ということを言いたいのだろう。それが内閣府に押し切られてしまったことについては力不足だったと言っている」と話し、「今、文部科学省は大学設置審議会で、8月に合格を出すかどうか、一生懸命に審議をしている。そのときに文部科学省の中に忖度する役人がいて、できないという選択肢はないんだよという意見が出てしまうと、再び歪められてしまう。だから省内からこの文書が出てきたのかもしれない」と話した。
さらに寺脇氏は「安倍総理がそんなことをおっしゃるわけはないと役人だったらみんな思う。『友達を何とかしてくれ』なんて総理がおっしゃるわけがない。前川さんも、安倍総理が言ったからけしからんとか言っているわけではない。問題なのは、本来対等なはずの文部科学省に対して、内閣府が"できないという選択肢はない""決まってるんだからこれはやれよ"と言ったこと」と指摘。「両者が意見を徹底的に言い合って、最終的には総理が決断するべきものだった」と説明した。
国会審議でこの問題を追及してきた民進党の宮崎岳志・衆議院議員も、「官邸主導も公平なら良い。総理は客観的な基準を示せばいい。そもそも両省が対等であれば押し付けられない。"総理のご意向"だという言葉があったから押し付けることができた。特定のここしかダメだとか、自分のお友達の所しか認めないということがダメだ」と指摘。「構造改革特区は総理が好きにやろうとしてもできる仕組みじゃない。国家戦略特区は総理の鶴の一声で決められる仕組みになっている。その仕組みを使って無理やりねじ込んだのではないか」と批判した。
2人のコメントに対し、自民党の青山繁晴・参議院議員は「民進党も官邸主導でやろうと言ってきた。みなさん国会議員になった動機は祖国のため、法に触れるような利益誘導や、行き過ぎが有るかどうかは絶対チェックしないといけない」とした上で、「メモを見る限り問題ない。とにかく相手を貶める足を引っ張るだけの国会見てたら、日本国民は政治がいやになる」と主張。
さらに寺脇氏の文部科学省が意見を言えなかったという意見に対し、「そんなことはありえない。意見を言えないなんて、ロシアや中国や北朝鮮じゃない、文科省の力の問題だ。寺脇さんも既得権益を守ってきた側の人。政治がこれを打ち破らなければいけない」と強く反論。「どうして50年以上、(獣医学部が)1校もできないのか。むしろ今までの獣医師さんたちが既得権益を作っていて、新しい医者を入れなかったと考えるのが普通じゃないんですか」と持論を展開した。
一方、国会審議でヤジを飛ばすなどしている安倍総理に対しては「ちょっと言い過ぎですね。進退を口にされたりするのは大変良くない。国会審議で"新聞読め"なんていったら絶対ダメ。こんなこと言うと、また呼び出しがくるかもしれないけど(笑)。ただし加計事件については野党と違って全く問題ないと思っている」と訴えた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)