日本中に将棋ブームを巻き起こしている中学生棋士・藤井聡太四段(14)の関連グッズが飛ぶように売れている。6月7日に発売された揮毫(きごう)入り扇子は、わずか1時間で完売。さらに12日に発売されたクリアファイルも、瞬く間に売り切れた。純粋な将棋ファンだけでなく、転売目的で購入していると見られるケースも多く、頭の痛いところではあるが、将棋界だけでなく日本中の注目を浴びている証とも言える現象だ。1時間で完売するような扇子であれば大量生産すればいいのでは?と思うところだが、そうはいかない理由と、藤井四段の偉業があった。
扇子がネット販売でも売り切れた翌日、日本将棋連盟は大量の注文に対して、お詫びと今後の対応をホームページ上で掲載している。そこに書かれていた理由の1つが、扇子の原材料となる竹の品薄だ。日本将棋連盟では毎年、数々の扇子を作成、販売している。サイズが同じものであれば、基本的に同一の価格で販売されており、人気棋士のものやタイトル獲得時の記念扇子などが売れ筋で、優先的に作られていく。竹の原材料が少ないこともあり、どんな棋士でも作ってもらえる環境ではない。
関係者によると「作るとなったら、最低100本は作ることになる」という。藤井四段の扇子が何本作られたかは公表されていないが、人気棋士・タイトルホルダーと、扇子の上では「同格」と認められたからこそ、発売が決まったことになる。仮に数百本だったとしても、限られた本数の中でやりくりする苦労もある。デビュー間もない四段で扇子を「作ってもらえる」こと自体が、既に偉業と言っても過言ではない。
今や将棋グッズ以外でも、藤井四段が幼少期に遊んだ玩具が注目を浴び品切れになるほどのフィーバーぶりが続いている。テレビ各局でもニュースからバラエティーまで、急遽「将棋特集」が組まれ、“ひふみん”こと加藤一二三九段(77)だけでなく、さまざまな棋士に出演依頼が舞い込んでいる。グッズの売り上げ以上に、藤井四段の連勝記録をきっかけとした将棋界のPR効果は計り知れない。
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