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 ワシントン・ポスト紙が、特別検察官がついにトランプ大統領本人の捜査を始めたと報じた。同紙によると、ロシアとの関係をめぐる捜査を担当する特別検察官のミュラー氏はトランプ氏自身が司法妨害を図った疑いがあるとして、コーツ国家情報長官やロジャーズ国家安全保障局長官などへの事情聴取を始めたという。

 アメリカ政治に詳しい前嶋和弘・上智大学教授は「今回の"ロシアゲート疑惑"の本丸がトランプ大統領なので、そこに切り込んでいった。これまでの捜査のターニングポイントになる」とその重要性を指摘する。さらに前嶋教授は「アメリカ大統領は"恩赦"の権限を持っている。つまり、トランプ大統領が辞める前に自分自身恩赦しておけば、私人になったときに降りかかってくる罪から逃れることができる」と、驚くべき秘策に打って出る可能性も示唆した。

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■アメリカ大統領の「恩赦」権限とは?

 合衆国憲法には、裁判で決まった刑罰を特別に許したり、罪を軽くすることができる大統領権限が定められている。ただ、自分自身に行使できるのかどうかは曖昧だ。

 国際弁護士の湯浅卓氏によると、そもそも恩赦(Pardon)とは、憲法制定時期は政治が不安定だったことから、大統領の暗殺を防ぐため、弾劾の手続きを定めるとともに、大統領が恩赦を施すほど人間味のある人物だということを示すことを目的に盛り込まれたものだという。

 「かつてフォード大統領がニクソン前大統領を恩赦したように、トランプ大統領が逮捕された場合、後任になるペンス副大統領に恩赦をさせるだろう。当然、国民はペンスを批判するだろうが、トランプ支持者たちの票を得るためにも、ペンスは恩赦せざるを得ない。また、連邦法違反の恩赦の他に、州法違反の恩赦があり、連邦法だけでなく、州法にも違反をしている可能性がある。そうなると、トランプは各州の知事にも恩赦を依頼しすることになる」(湯浅氏)。

 ウォーターゲート事件で辞任したエリオット・リチャードソン元司法長官とも長年の友人で、クリントン大統領の女性スキャンダルの際に弁護団の一人だったという湯浅氏は「私がホワイトハウスの顧問ならば、トランプを120%守りきれる」と話す。

 湯浅氏は「トランプはコミー前FBI長官に3回も自分が捜査対象かどうかを確認しているが、その前にクビにさせておくべきだった」とし、「娘婿のクシュナーはビジネスマンで、セッションズ司法長官ももともとは軍人だから、"否定可能性(ディナイアビリティ)"という言葉を知らず、周辺もアドバイスが足りない」と、政権内の問題を指摘した。

■次のFBI長官人事にも注目

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 トランプ大統領が71歳の誕生日を迎えた14日には、ニューヨークのトランプタワー前ではロシア疑惑などを追及するデモが行われた。参加者たちは「お誕生日おめでとう。この国は私たちのものでもあるの、ロシアに帰って。そこがあなたの場所だから」などと抗議。ロシアへの片道チケットのデザインを施したプラカードを持った男性は「これはドナルド・トランプのためのロシア行きの片道切符だ。ロシアに行って我々をほっといてほしい」と訴えていた。

 今後のシナリオについて湯浅氏は「コミーの後継としてFBI長官に指名されている、クリストファー・レイという非常に優秀な人物がいる。彼はトランプ氏に倫理面をアドバイスしている弁護士とも親しく、トランプ側につくことも予想される。もしそうなれば、トランプが逮捕されるよりも先にコミーを逮捕し、ミュラー特別捜査官を不利な状況に追い込むだろう」と話す。だたし、レイ氏はトランプ氏と敵対する営とも関係があるといい「先はまったく読めない」とした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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