レコード、ラジカセ、フィルムカメラといった20~30年以上前に人気があった商品の売れ行きがここ数年伸びている。買っているのは、昔を懐かしむシニア層だけではないようだ。なぜ、今レトロな商品やサービスが人気となっているのだろうか。
経済ジャーナリストで大正大学客員教授の渋谷和宏氏は、アナログ商品のヒットはシニアが若い人を引っ張り込んでいる新たな動きの結果だという。「当初ラジカセやレコードなどを買っていたのはシニアだったが、それを見た若い人たちが『何これ。すごいボタンゴテゴテしてて、メカニックでCOOLじゃん』 と、ブームが伝播していった」と話す。それに伴いメーカー側も若年層を意識した新製品を出すようになった。結果として懐かしがっているシニアだけではなく、それを新鮮に思う若い人たちにも売れ始めた。
さらに郊外では、店員が注文を取りに来て席まで運んでくれる“フルサービス型”の喫茶チェーン店が増加している。シニア層の生活拠点は自宅周りとなることが多い。それを狙って郊外に出店していったのだが、シニアの人たちが息子娘夫婦や孫を連れて来ることにより、三世代で盛り上がっているという。渋谷氏は「シニアが新しい客を呼び込む形での新たなマーケットの拡大が期待できる」と解説した。
フィルムカメラで撮影した写真をSNSにアップするのが若い人の間で流行ったり、フルサービスの喫茶店のメニューが、やはりSNSで紹介され人気になったりと、商品やサービスは昔のものでも、広がり方が今までにない新しいものになっている。
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