5月、中国から神戸港に到着したコンテナの中で、強い毒を持つ外来種のアリ「ヒアリ」が大量に見つかったことを受け、6月に環境省や神戸市が周辺を調査。結果、コンテナ置き場の塗装の亀裂部分から約100匹のヒアリが見つかった。
見つかったヒアリの体長は約2.5mm~6mmほどで、刺されると激しい痛みや発熱などを引き起こし、体質によってはアレルギー性のショックで死亡する恐れもある。
このヒアリの分布は1940年代以降、北米大陸に拡大していき、さらにオーストラリアや中国などに広がっていったという。
海外でヒアリに刺された経験がある九州大学決断科学センター・村上貴弘准教授は、「(最初に刺されたのは)テキサス、台湾、フロリダ、パナマ、ベネズエラ、アルゼンチン。台湾で刺された時は呼吸が荒くなり、発汗、けいれん、あと頭痛と吐き気があった」と症状を語る。
環境省によれば、最初に日本で確認されたヒアリは、中国・広州市からのコンテナで見つかった。積み出す際に入った可能性が高いそうだ。
神戸市はヒアリ対策本部を設置し、ヒアリを発見しても触らないように呼びかけている。
■ヒアリは「世界の侵略的外来種ワースト100」に該当
赤茶色の体が特徴のヒアリ(火蟻)は、原産は南米中部だが、徐々に分布を広げ生息地を拡大している。強い毒を持っており、その症状は軽度だと「刺された部位の痛みやかゆみ」だが、中度は「じんましん」、重度は「呼吸困難・血圧低下・意識障害」、そして最悪の場合だと、アナフィラキシーによって生命の危険も伴う。
対処方法としては、刺された直後20~30分は安静にして、体調の変化に注意し、容態が急変したら病院へ受診すること。症状は急速に進むことが多いという。
ヒアリは、国際自然保護連合が定める「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれている。侵略的外来種とは、「地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かす恐れのあるもの」を意味する。カミツキガメやウシガエルも侵略的外来種の一種だ。
ヒアリは日本に定着していないが、気候の変化などで定着してしまった侵略的外来種は多くいる。
その一種が、「ツマアカスズメバチ」だ。体長20mm~30mm前後で、主に中国や東南アジアに生息する。高い位置に巣を作るのが特徴で、在来のスズメバチよりも大きな巣を作る。スズメバチ同様、人への刺傷被害をもたらす危険性があるほか、ミツバチを捕食することで知られており、養蜂や受粉への被害もある。
「セアカゴケグモ」も侵略的外来種だ。名前の通り背中が赤いのが特徴で、1995年に大阪で見つかって以来、日本に定着した。毒を持っていて、噛まれると腫れて赤くなり、痛みが全身に広がっていく。福岡では公園の遊具に注意書きがあったり、2014年には、大阪にある小学校のプールで女子児童が噛まれたりするなど、日本に広く分布する身近な外来種となっている。
■屋内外にいる、身近な害虫に注意
WHOの情報を元に作成された、「人間を殺した生き物」というランキングがある。
1位の蚊は、マラリアやデング熱などのウイルスを媒介するため、多くの人が亡くなっている。このランキングの中で、1位、4位、6~10位は虫となっており、虫の“危険さ”がわかる。
また、これから夏を迎え屋外へ出る機会が多くなるなか、身近に遭遇する虫に注意が必要だ。
主に草むらにいる「マダニ」はてんとう虫ほどの大きさだが、刺されると皮膚から離すことが難しい。マダニは動物の血液のみで栄養を補うため、多くの血を吸う。また、2016年8月にマダニに噛まれた40代の男性が、ダニ媒介性脳炎を発症し死亡したケースがある。ほかにも、マダニ媒介感染症で2013年1月から50人近い死亡例も出ている。
山に行く際に注意したいのが「ヤマビル」だ。吸血されると止血まで時間がかかる。主に水辺にいる「アブ」も、排気ガスに誘引され車中での被害も多いという。
一方、屋内にも多くの害虫が存在する。
「蚊」や体液に触れると水ぶくれになる「ハネカクシ」、刺されると強いかゆみとブツブツが出る「イエダニ」、潰して体液に触れるとやけどのようになる「カミキリモドキ」にも注意が必要だ。
こうした虫から身を守るためには、肌の露出を避けることが効果的で、蚊やハチに狙われやすくなる黒い服は避けた方がいい。また、虫除けスプレーを日焼け止めの後に塗ったり、汗をかくと流れてしまうのでこまめに塗り直したりすることも大切だ。
(AbemaTV/原宿アベニューより)
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