(6月6日に行なわれた記者会見で意気込みを語った4人。彰人がヒール化している遠藤の真面目な私生活を暴露する場面も)
毎年恒例となっているDDTプロレス・夏の両国国技館大会(8月20日)のメインは、KO-D無差別級タイトル、つまり団体最高峰のベルトをかけたタイトルマッチだ。その挑戦者を決める『KING OF DDT トーナメント』の準決勝・決勝が、6月25日の後楽園大会で行なわれる。
組み合わせは入江茂弘vsHARASHIMA、遠藤哲哉vs彰人。現在のチャンピオンが竹下幸之介であることも含めて(両国大会前にも防衛戦があるが)、この組み合わせは非常にドラマティックだ。
入江は2013年に王座を長期に渡って防衛していたが、両国大会でHARASHIMAに敗れ、ベルトを手放している。昨年12月の挑戦でもHARASHIMAをあと半歩のところまで追い詰めるもベルト奪還はならず。それだけに「たまりにたまった借りがある。越えなければいけない相手」だと意気込んでいる。
また入江と彰人は名古屋でプロレスキャリアをスタートさせ、DDTに移籍してきたという共通点がある。名古屋時代から「いつか後楽園で自分たちのメインを」と誓い合ったというだけに、今回はその大きなチャンスだ。そして入江と現王者・竹下は、選手としての実力を高く評価されながらも『DDT総選挙』では上位に入ることができず、アンダーボーイズとして前座試合で闘ったことも。そんな2人が両国のメインで闘うことになれば、これもやはりドラマティックだ。
一方、HARASHIMAもエースとして長年、団体を支えてきた存在だからこそベルトを取り返したい。竹下は3月のさいたまスーパーアリーナ大会でHARASHIMAからベルトを奪取。両国のカードが竹下vsHARASHIMAになれば、さいたまに続いてビッグマッチでの連続対決だ。
彰人は、入江とは名古屋の盟友。と同時にHARASHIMAとは最近まで同じユニット・スマイルスカッシュに所属していた。「どっちとやっても意味がある試合」だと彰人。また現在は竹下、ディエゴとのユニット・ALLOUTを結成しており、竹下戦が実現すれば“同門”対決となる。
そして遠藤は、かつて竹下とのコンビでKO-Dタッグ王座を獲得したことがある。しかし竹下へのライバル心からヒールユニット・DAMNATION入りして急成長。今年4月のタイトルマッチでは竹下と60分フルタイムの死闘を展開してみせた。もし両国での再戦が実現すれば、決着戦であると同時に今後も長く続くであろうライバルストーリーの最初のクライマックスとなるはず。DDTの未来を担うと言われてきた選手同士がビッグイベントのメインを張るという意味でも重みのある対決だ。
決勝がどんな組み合わせになり、両国のメインで誰が闘うのかはまだ分からない。しかしどんな結果になっても、6.25後楽園から8.20両国に続く流れは劇的なものになる。
文・橋本宗洋