お化け屋敷や映画のみならず、ウェブやスマホなど大きな広がりをみせている“ホラー”の世界。そんななか、「超怖い」と話題のコンテンツを作っている会社がある。

■ホラー×テクノロジーで“恐怖感動”を

 出迎えてくれたのは、株式会社「闇」代表取締役の頓花(とんか)聖太郎氏。差し出された名刺は、触った箇所が赤く変色するホラーな仕組みが施されている。

 「闇」は、Webサイトやアプリのホラーコンテンツ制作を専門とする会社だ。頓花氏は、「ホラーとテクノロジーを組み合わせて、新しい恐怖感動を作ろうとしている」と話す。オフィスには、等身大の人形や日本人形、こけしなどが置かれており、「勝手に集まってきた」という。

 「闇」が手掛けた代表的な案件に、「サクヤサマ」がある。日本各地のリゾートバイトを紹介している企業から、「リゾートバイトをテーマにした怖いサイトを作って欲しい」と依頼を受けて制作した、ホラーゲーム風の求人サイトだ。リゾート地でアルバイトをすることになった主人公が、その土地の怨霊「サクヤサマ」の呪いに巻き込まれていく。

 頓花氏は「ソーシャルでかなり話題になり、主に『誰がいくか』というものだったが、反響が大きかった」と話す。アルバイトが集まるのかという疑問は拭えないが、話題になったことで“大成功”と言えるそうだ。

 さらに、「闇」はVRにも着手している。実際のお化け屋敷をVRで体験でき、お化け屋敷とは異なる“逃げられない”怖さを体験できる。

 ホラーとテクノロジーをコラボさせ、今流行りの謎解きイベントを開催するなど、会社設立3年目にして、恐怖を生み出す多くの事業に取り組んでいるが、「2年目は初年度の4倍くらい売り上げが上がり、大きなクライアントさんからも直で指名してきていただけるようになった。恐怖で心が動くのを単なる嫌悪感じゃなく、ストレスの解消だったり、面白かった・びっくりしたという安堵だったり、喜びに転化するテクニックを伴ったものがホラーというエンターテイメントになっているのかなと思う」と、頓花氏は話した。

 「闇」との仕事経験があるお化け屋敷プロデューサーの五味弘文氏は、「昔はコンニャクが顔に当たるといった子供だましの怖がらせ方だったが、今はストーリーを作って、そのストーリーの世界の中で自分が登場人物になったかのように体験するエンターテインメントに変わってきている」と語る。また、そのような変化が起きた理由として、様々なエンターテイメントの進化を挙げ、「従来のものでは満足できなくなった」と分析する。

 「闇」はホームページも「怖すぎる」と話題で、スマートフォンで閲覧すると画面をスクロールすることで、リアルな“ホラー×テクノロジー”を体験できる。

■なぜお金を払ってまで恐怖を体験するのか

 そもそも、なぜ人はお金を払ってまで恐怖を体験しようとするのか。

 大阪・道頓堀で開催されている“最恐”ホラーイベントを訪れ、参加者に話を聞いてみると「非日常的なことにお金をかける」「刺激を求めて。毎日同じことの繰り返しだから」「みんなで行くことで怖さを共有しながら、出たときの達成感とか楽しさを味わいたい」と、楽しさを口にする人が多い。

 イベントの舞台は、女性の霊がさまよう真っ暗な廃墟ビル。30分以内に「赤いおふだ」を探し出し、女性の霊を鎮めてビルからの脱出を目指す謎解きホラーだ。ビルは本当の廃墟ビルを利用しており、カーテンや曲がり角が視界を遮る。施設の担当者によると、チケットは連日完売だという。

 このイベントを主催する時解escape cafeの中山晃一さんは、「チームメイトと共通の体験を通じて、喜びを分かち合っていただきたい」と話す。

 恐怖体験にお金を払う背景として、海外の科学メディアでは「対抗恐怖にお金を払うものである」という。対抗恐怖とは、「恐怖を感じる対象に自ら進んで直面することで、恐怖を乗り越えようとする心理」のこと。五味氏は「ある意味、好奇心みたいなもの。怖いもの見たさ。例えば、ここに絶対開けてはいけない箱があるとしたら、見ずにはいられないというのが生き物の性。危険かもしれないが、中に何が入っているのか分からないという不安の方が恐怖を上回る。不安定な自分が一番嫌なので、それを解決するためにはその箱を開けるしかないという心理が働く」と説明した。

 経済評論家の上念司氏も、「恐怖を感じる中枢と、快楽を感じる中枢は近いと言われている」という話を紹介しつつ、「より強い刺激を人間は求めている可能性がある。昔は映画を見たり話を聞いたりして怖がっていた。2000年くらいの『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』で自分視点に変わる。今度、それが体験に変わって、自分がゾンビ化して渋谷の街をハロウィンで歩く。次はゾンビ化の次にいかなきゃいけない。何があるんでしょうね」と、期待を膨らませた。

(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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