将棋の中学生棋士、藤井聡太四段(14)が6月26日、従来の記録を30年ぶりに更新する29連勝を達成した。昨年12月のデビュー以来、無敗のままでの快挙に、将棋界のみならず日本中が大いに沸いた。若干14歳の天才棋士が、将棋を始めてから大記録を達成するまでの軌跡をたどった。
◆5歳で将棋を始める
出身は愛知県瀬戸市。隣に住む祖父母の影響で、5歳から将棋を始める。その後、近くの将棋教室に通うようになった。将棋教室の文本力雄さんによると「体の細胞が全部将棋で出来ているよう」。
◆弟子入り、奨励会入り、詰将棋解答選手権
杉本昌隆七段に弟子入りし、2012年6月に奨励会入り。小学6年生時には、プロ・アマが多数参加する詰将棋解答選手権で、史上初めて小学生として優勝(現在、3連覇中)。杉本七段は「弟子に取った時からびっくりするような才能は持っていた。勝った時はあまり喜ばないけれど、負けると将棋盤を抱えて泣いていた」。
◆14歳2カ月でプロ入り、デビュー戦勝利
奨励会三段リーグで1期抜けを果たし、2016年10月に史上最年少となる14歳2カ月でプロ入り(それまでの記録は加藤一二三九段の14歳7カ月)。同年12月のデビュー戦では、加藤一二三九段と竜王戦6組ランキング戦で対戦し、快勝。62歳差、最年少対最年長という話題性もあり、50人以上の報道陣が詰め掛けた。
◆「炎の七番勝負」で6勝1敗、羽生三冠にも勝利
インターネットテレビ局・AbemaTVの特別対局企画「炎の七番勝負」で2月に7人の若手、ベテランの実力派と対戦。6勝1敗の好成績を収めた。最終第7局では、羽生善治三冠に勝利。非公式戦ながら各メディアでも大々的に取り上げられた。非公式戦での敗戦は、第2局の永瀬拓矢六段戦、イベントで対局した羽生善治三冠戦、豊島将之七段戦の3回のみ。
◆デビュー以来の連勝記録更新、さらに連勝
2017年4月4日、王将戦一次予選で小林裕士七段に勝利し、新人のデビュー以来の連勝記録「10」を更新する、11連勝を達成した。その後も勢いは止まらず、6月7日の上州YAMADAチャレンジ杯では1日で3勝、6月10日の叡王戦では2勝を挙げるなど、一気に連勝を伸ばした。
◆ついに歴代最多に
6月21日の王将戦1次予選で澤田真吾六段を破り、歴代最多タイとなる28連勝を達成。6月26日の竜王戦決勝トーナメント1回戦で、増田康宏四段を破り、ついに最多記録を更新する29連勝を達成した。
◆わずか半年での大記録達成、6月だけで10勝
藤井四段の勝利数は2016年12月、1月に1勝ずつ。2、3、4月に4勝。5月に5勝を挙げると、1日で複数の対局が行われることもあった6月で一気に増加。10勝を挙げた。デビューから半年で29戦、すべてに勝利した。
(C)AbemaTV
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