国内外から注目を集めるkiLLaクルーの中心人物としても知られるラッパー・YDIZZYが、待望のソロ・デビューアルバム『DIZZiNESS』を完成させた。すでに規格外と言えるほどの大きな大志を抱いてシーンへと踊り出たYDIZZYに、インタヴューを敢行。まさに彼が生まれ育ったとも言える渋谷・宇田川エリアにて話を聞いた。
ーー先日、初めてフランスでフェスに出演したばかりですよね?
YDIZZY そう。楽しくて、めっちゃよかった。みんな、俺らのこと初めて見た人ばっかりだと思う。でも、その分アゲがいがあったし、お客さんもノッてくれてたし。
ーー海外でライブする感覚と、日本でライブする感覚はやっぱり違う?
YDIZZY (日本よりも)もっとフリーで楽しい。印象に残ってるのは台湾かな。(海外のオーディエンスの方が)半年くらい先に行ってる感じで、俺にはちょうどいい。でも、俺のライブに来る奴は日本にいても(感覚が)早いと思う。
ーー地元はこの辺りですよね?生まれも育ちも渋谷?
YDIZZY そう。通ってた小学校も、ここから歩いて1分くらい。
ーーどんな子供だったんですか?
YDIZZY 松濤公園にみんなで基地を作って、お腹が空いたら東急本店の地下で試食。めっちゃ美味しいモノがタダで食えるから、イイんだよね。あとはスケボーとか。高校は中目黒にある学校の体育科で、あれは本当に辛かった。何回殴られたか分かんないけど、でもあの経験が良かったね。それで、高校の後輩が(kiLLaクルーの)KEPHAなんだ。
ーーkiLLaのメンバーは、そうやって自然に出会っていったメンツが多いんですか?
YDIZZY うん。kiLLaのメンツで一番古いのは一個年上のNo Flowerで、同じ小学校だったから6歳の時から知ってる。
ーーそれが、だんだんヒップホップ・クルーとして形成していったのはどういう経緯で?
YDIZZY みんな、ヒップホップはずっと好きだったんだよね。俺が二十歳になる前くらいに、kZmが一番最初にラップを始めて、最初は「キモッ」って思ってたくらいで、全然憧れとかなかった。そしたらArjunaが出して、「次は俺も」みたいになってったんだよね。それで、みんなでバスケやってた時にいいトラックがあったから「じゃあ、みんなでやってみよう」「オッケー」みたいになって、帰ってiPhoneのボイスレコーダーで録ってkZmに送ったら「いいじゃん、お前、そんなの出来んの?」みたいな。それが始まりかな。
ーーちなみに、最初に買ったヒップホップのアルバムは覚えていますか?
YDIZZY 初めて買ったのは…Dr.Dreの『2001』かな。そこのCD屋あるじゃないですか、まんだらけの上の(筆者註:レコファンの事だと思われる)。そしたら『2001』が1枚しかなくて、友達と奪い合ったもん。その時、LL COOL JとかDMXもまとめて買って、超うれしかった。
ーー今回のアルバムには「TOKYO」という曲も入っていますが、ズバリ、YDIZZYさんにとって東京とはどんな街?
YDIZZY 楽しいけど、誘惑が多いよね。渋谷は特に。でも、渋谷には一番可愛い子が集まるし、手に入らないものもすぐに手に入る。それを奪おうとしたり、騙したりしてくるヤツも多い。ちょっと忙しい街な気もするけど。
ーーアルバム『DIZZiNESS』について伺っていきたいと思います。まず、今回は全てChaki Zuluさんのビートで構成されていることに驚きました。これまでのミックステープ作品には、同じkiLLaクルーのビートメイカーや、KM、Mitch Mitchelsonらのビートもよく収録されていたので。
YDIZZY 他のトラックメイカーを使う可能性もあったし、まだ出してない曲で、ハンパじゃない曲もある。でも、他のプロデューサーとの曲をを出さないことに決めて、そしたらアルバムは全曲Chakiさんに頼もうかな、と。
ーーフィーチャリング・ゲストもナシで進めようと?
YDIZZY 最初は誰か入れようかと思ったんだけど、7曲くらいできた段階で「俺、一人でできるし」と思って。しかもChakiさんと二人で作るとなったら、いらない。これは二人だけの作品だから。
ーーこれまでの作品を聴いていると、思い切った決断のようにも感じます。結果、出来上がってみて率直な感想は?
YDIZZY いい、最高。今できる俺の全てで、今の俺のベスト。
(後編へ続く)
【TRACK LIST】
1. MAZU
2. DAMARE
3. WAKWAK
4. OMW
5. YES
6. B BOY
7. In Da Club
8. SuperrStarr
9. Feel So
10. ASU
11. TOKYO
12. Deep Love
13. HELLO?