DDTマットに完全に定着したベイリー。若い2人の新鮮なタイトルマッチだ
7月2日、DDT初開催となる新宿村スタジオ大会で、竹下幸之介vsマイク・ベイリーのKO-D無差別級タイトルマッチが行なわれる。この一戦は、タッグマッチでベイリーが竹下からスリーカウントを奪い、「いつでもどこでも挑戦権」を獲得したことで実現するもの。
両者はかつてタッグパートナーとしてKO-Dタッグタイトルを保持していたこともあるだけに、その実力を認め合っている仲だと言っていい。タッグでの前哨戦では、何度もベイリーが竹下に拍手を送り、6月27日の記者会見でも「正直、竹下に弱点はないね。勝つのは僕だけど、どうやって勝てばいいのかはまだ分からない」と、ほとんどホメ殺しにも近いコメントを残している。
だからこそ油断大敵のはずだが、竹下は「いや、尊敬してくれてるってことでしょう」とそのまま受け止めて懐の深さを見せる。このあたりも、手の内を知り尽くしている同士だからこその心理戦か。
今年3月、さいたまスーパーアリーナでのビッグマッチでエース・HARASHIMAを下して王者となった竹下。昨年の初戴冠時には8月の両国大会でベルトを失っているだけに「両国をまたいでチャンピオンでいることがテーマ」だという。
まして今年の両国大会(8月20日)では、永遠のライバルと言える遠藤哲哉が挑戦者としてメインに登場するのことが決定している。竹下としては「いつでもどこでも挑戦権」を持つベイリー、石井慧介、吉村直巳を破って両国での遠藤戦を決め、その上で勝たなくてはならない。
竹下は会見で「ベイリーがまだ見せてない部分を引き出したい」とも
両国に向けての第一関門となるベイリーは、カナダ出身。テコンドーの蹴りと空中殺法をミックスさせた独自のスタイルで存在感を発揮している。
ベイリーとの試合に「僕はカナダ人との試合は思い入れがあるし、得意ですよ」と語っている竹下。会見でも「プロレス界で日本vsカナダはブームになってますね。DDTを世界に届けたい。ワールドワイドでハードな試合になりますよ」。
竹下が念頭に置いているのは、当然ながら今年2度の激闘を繰り広げたオカダ・カズチカとケニー・オメガのIWGP戦だ。ケニーは2014年までDDTを主戦場にしており、竹下は遠藤とのタッグで飯伏幸太&ケニー組からタッグ王座を獲得、団体の未来を託されている。
またケニーは6月の大阪城ホール大会でオカダと60分フルタイムドローとなったが、それに先立つ4月、竹下と遠藤のタイトルマッチも60分時間切れ引き分けという結果だった。
新日本で大出世したケニーにDDTの未来を託された身として、竹下は両国のメインまで、いや両国のメインでも負けるわけにはいかない。と同時に、「日本vsカナダのタイトルマッチ」として、クオリティーで上回ってやろうとも考えているはず。
竹下はあえて名前を出していないものの、DDTと自分の歴史、そしてマット界最高の闘いというところまで視野に入れた闘いになるのが竹下vsベイリー。両国前からDDT戦線はクライマックスが続きそうだ。
文・橋本宗洋