今回の都議会選挙で自民党を破った都民ファーストの会。小池都知事への支持を背景に、公明党、さらには自民党、民進党からの離反者も取り込んでいった。応援演説でも、自民党の政治手法を批判する小池氏の隣には自民党に離党届を出した若狭勝衆議院議員と、民進党から離党した長島昭久衆議院議員の姿があった。また、日本維新の会から除名処分を受けた渡辺喜美参議院議員も小池氏の応援に回った。
さらに小池氏は公認候補者を集めた勉強会「国政研究会」を発足させており、今回の都議選は次期衆議院議員選挙をにらんだ国政進出への足がかりなのではないかとの見方もある。
2009年には民主、2013年には自民、そして今回は都民ファーストと、一人区には時々の風を受けた政党が圧勝している。
AbemaTVの開票特番『みのもんたのよるバズ!』に出演した政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、「今回の都議選で政策論争はほとんど見えなかった。都民ファーストの政策もよく分からなかった。自民党対都民ファーストだとみんな思い込んでいたけれど、自民党は共産党や民進党と議席を争っていて、戦う相手が見えなかったのも大きい。小池さんも"古い政治、おっさん政治と戦うんだ"と言っていたので、自民党だけが敵ではない。しかし、都議会改革と言ってもピンと来ないけれど、おっさん政治をやっつけるんだと言われて、何となく分かったような気がした有権者がいたんじゃないか」と分析した。
そんな都民ファーストの会は、国政では自民党と連立を組む公明党との連携により都議会での多数派を形成する。角谷氏は「公明党の高木都連会長は"国政は国政、都政は都政"と言っているが、なかなかわかりにくい。都民ファーストが東京で自民党批判を強めていけば、公明党にとっては難しい立場になるし、公明党も都民ファーストがあって与党勢力が作っていけるので、双方にとってうまくやらなければならず、悩ましい」と指摘した。
一方、小池都知事は国政レベルでは自民党との協力を模索するとの見方もある。元宮崎県知事の東国原英夫氏は「あり得ないこともない。地方の政策と国政レベルの政策は違う。憲法論とか外交問題になると、都民ファーストの会と自民党はそんなに考え方は違わないと思う」と話し、衆院選での自民党と都民ファーストの会の協力の可能性はゼロではないとの見方を示した。(AbeamaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)