初代IWGP・USヘビー級王者に輝いたケニー・オメガが、新日本プロレスの“真夏の最強決定戦”「G1 CLIMAX」(7月17日(月) 15時~AbemaTVで開幕戦生中継)に2年ぶり出場が決定した飯伏幸太を挑発するとともにG1連覇を予告した。
かつてのタッグパートナーであり、盟友だった飯伏に向けてケニーは自身のツイッターで「ついに戻ってくると決意したか。今はまったく世界が違うんだよ、イブたん(飯伏幸太)、お前がどれだけ後れを取っているか見せつけよう」とコメント。
飯伏が新日本プロレスを離れている間にケニーは昨年のG1を制覇。今年に入ってからはオカダ・カズチカの持つIWGPヘビー級王座に2度挑戦し、いずれもベルト奪取はならなかったもののベストバウト級の死闘を繰り広げており、新日本マットの最前線で闘い続けてきたプライドをのぞかせている。
ケニーはBブロック、飯伏はAブロックに組み込まれたため、両者が対戦する可能性があるのは、8月13日に両国国技館で行われる優勝決定戦のみ。ケニーは「なぜ今、戻ってきたのか。それはリングの上で直接本人に聞きたい。とりあえず、俺は決勝戦で待っていると約束したい。ただ、彼はしばらくハードな試合をしていないんじゃない? 本当に勝ち上がってこれるのか?」と、G1決勝戦での再会を熱望しつつ、ハードな試合の少なさを指摘した。
昨夏のG1 CLIMAXに初出場で初優勝、大会史上初の外国人優勝という偉業を成し遂げたケニーは、決勝戦で飯伏の得意技であるフェニックス・スプラッシュやシットダウン式ラストライドを繰り出し、試合後には「ようやく俺はお前を超えた。一人は…さびしいじゃないか。だから、この場所で待っている」と飯伏へのメッセージを残している。
ケニーは「連覇というものはもちろん大事だが、あの約束は俺の男のプライドにかけて守りたいんだ。今の飯伏はこの俺に勝つことはできない。必然的に優勝ということになるだろう」と、飯伏への思いをにじませるともにG1連覇に向け自信をみなぎらせた。
これに対し飯伏は、「一昨年に退団して以来、自分は新日本プロレスには出ていなかったが、自分は自分でいろんなところで経験してきた。ケニーはこの2年でものすごいレベルまで行ってしまった。もし、ケニー対オカダ戦のような、ここ1、2年のケニーのプロレスをやることになったら、自分はついていかない」とコメントしている。
■闘ってよし組んでよしだった「ゴールデン☆ラヴァーズ」
かつてDDTのリングでタッグチーム「ゴールデン☆ラヴァーズ」として一時代を築いたケニーと飯伏の出会いは2008年まで遡る。かねてから日本行きを熱望していたケニーは、自身の路上プロレス動画をYoutubeにアップし、路上マッチを得意とする飯伏に挑戦をアピール。それがDDT社長の高木三四郎に届き、飯伏戦が実現した。
ケニーと飯伏は、路上・リング上でそれぞれ1本先取した方が勝ちという変則ルールで壮絶な闘いを繰り広げ、闘いを通じて互いに理解し合った二人は翌年2009年1月よりタッグを結成。同年1月24日には早くもKO-Dタッグ王座を奪取した。
2010年から新日本プロレスに参戦した「ゴールデン☆ラヴァーズ」は、同年10月11日、新日本プロレス両国大会にて田口隆祐とプリンス・デヴィットの「Apollo55」が持つIWGPジュニアタッグ王座に挑戦しタイトルを奪取。この試合は、東京スポーツが選定するプロレス大賞において、この年の最優秀試合賞を受賞した。ジュニアタッグの試合がこの賞に選定されたのは史上初の快挙だった。
2012年8月18日、DDT初の日本武道館大会のメインイベントでは、KO-D無差別級王者・飯伏がケニーの挑戦を受け、4年ぶり2度目となる対戦が実現。飯伏は2階バルコニーからのケブラーダやコーナートップから場外への雪崩式&断崖式フランケンシュタイナーといった超危険技を連発し、自身も雪崩式クロイツ・ラスや片翼の天使などで首に大ダメージを負いながらも40分近く戦い抜くと、最後は雪崩式フェニックス・プレックスからのフェニックス・スプラッシュでケニーを破った。
観客から「もうやめてくれ」と悲鳴が上がるほどの壮絶な死闘を制した飯伏は、試合後に「もうこういう激しい試合は良いかなって。エスカレートして行くだけだし、違った形の凄い試合を次からします。気持ち良かったですけど、この形はMAXまでやったと思います」と、危険技の応酬となるような試合からの“卒業宣言”をしている。このような経緯があって、飯伏は「自分はついていかない」という発言をしたのだろう。
果たして今年のG1の決勝の舞台で、ケニーと飯伏の3度目のシングルマッチが実現するのか。実現したら、どのような試合になるのか。今からG1の開幕が待ちきれない。