九州北部を襲った記録的な大雨や、茨城県での猛烈な雨など、近年、豪雨の発生回数が増加している。気象庁によると、各地で1時間に80ミリを超える猛烈な雨の年間発生数は1976年~85年の10年間は平均10.7回、2006年~15年では平均18回と、40年の間に年あたり7回以上増えた計算だ。背景には気候変動が関係している可能性があり、この100年で日本の夏の平均温度は1.08℃上昇しており、「熱帯化」する傾向にある。
こうした気候の変化によって、話題を呼んでいるヒアリ以外にも日本へ上陸してくる外来害虫の増加、また虫が媒介する感染症の増加といったリスクの高まりを指摘する声もある。
実際、温暖化によって国内で新たに発見された昆虫は他にも存在する。1995年にはオーストラリア原産で猛毒を持つセアカゴケグモが大阪府で発見され大騒ぎになった。噛まれると痛みや吐き気の症状が出て重症になるケースもあるセアカゴケグモは温暖化によって生息エリアを拡大、現在までに41の都道府県で発見されている。
また、3年前には国内でのデング熱感染がおよそ70年ぶりに確認された。本来は熱帯地方で流行する感染症だが、温暖化によってウイルスを媒介する蚊「ヒトスジシマカ」が北上したためと見られている。その分布エリアは年々拡大、1950年には福島県近辺だった北限が、2000年には秋田県の沿岸や岩手県の内陸あたりまで北上。2006年には青森県と秋田県の県境まで伸びているという。
感染症を研究する白鴎大学の岡田晴恵教授はヒトスジシマカの生息地域拡大について「デング熱の感染するリスクのある地域に住んでいる人は現在25億人。毎年1億人発症して年間25万人が重症化している。2085年には52億人が住む地域にまでリスクのあるエリアが広がるというシミュレーションもある。温暖化と降雨災害で生息地域が広がっている」と話す。
また、岡田氏は「気温の上昇は成長を加速させ、蚊の密度を上げるかもしれない。さらに、デング熱の流行地域に生息する、ヒトスジシマカよりも媒介能力が高いネッタイシマカも、日本の平均気温の上昇が続けば生息してしまう可能性もある」と警鐘を鳴らす。
岡田氏によると、交通インフラの拡大にも要因があるといい、「デング熱が流行する東南アジアから毎年500万人が日本との行き来があるが、8割の人は症状が出でない。すると検疫所のサーモグラフィーではチェックできない」と指摘。また、「妊婦が感染すると小頭症という重篤な障害を与える可能性があるジカウイルスが知らない間に日本に来ていた、ということがないか心配している」とも話した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)