7月17日の全日本プロレス・後楽園ホール大会で“これぞ全日本”というべき大型選手同士のタイトルマッチが行なわれる。王者・石川修司に諏訪魔が挑む三冠ヘビー級選手権だ。
(7.16DDT大阪大会では樋口と一騎打ちを行なう石川)
これは6月、石川が初防衛に成功した際、諏訪魔が挑戦表明して決まったもの。石川はチャンピオン・カーニバル開幕戦で諏訪魔に敗れており、優勝を果たしたものの「借りは返す」という思いが強い。
昨年のチャンピオン・カーニバルでは関本大介が優勝するなどインディーの選手が活躍することも目立つ現在の全日本マット。そのことが活性化につながっているのは間違いない。石川のチャンピオン・カーニバル優勝、三冠奪取はその究極と言ってもいいだろう。
大日本ではストロングヘビー級、デスマッチヘビー級と2大タイトルを獲得し、リーグ戦「一騎当千」も制覇。DDTではシングル王座の頂点であるKO-D無差別級、トーナメント「KING OF DDT」も制している。その上で全日本まで制圧してしまったのだから偉業というしかない。巨体を活かしたパワフルな攻撃だけでなく、ミサイルキックを繰り出すなど“動ける”ところも大きな武器だ。
石川には諏訪魔戦の前にも大一番が待っている。決戦前日、DDT大阪大会で樋口和貞とのシングルマッチが組まれているのだ。樋口は相撲出身の大型レスラーで、現タッグ王者。若手ブランドDNAを卒業してDDT入団を果たしており、近い将来、シングル王者になる可能性も高い。
(「どの団体に出る時でも三冠王者であることを意識して闘っている」と言う)
石川との対戦に「これで自分が勝ったらDDTも全日本プロレスも黙ってないんじゃないですか」と“その後”の展開まで視野に入れている樋口。石川はそのパワーを跳ねのけた上で諏訪魔戦に臨まなければいけない。
しかし諏訪魔も三冠戦前日に大仁田厚と6人タッグで電流爆破マッチを行なうことから、石川は「条件は同じ。お互いダメージを負っての闘いになる」と覚悟を決めている(樋口の破壊力は電流爆破級ということでもあるのだろう)。
そして諏訪魔に勝って三冠王座を防衛すれば、8月27日の全日本・両国国技館大会も見えてくる。タイトルを持っていれば試合は防衛戦=メインイベントになるはず。石川は昨年のDDT両国大会でメインイベントのKO-D無差別級王座戦に勝利しており、今年の全日本でメインとなれば“2年連続、別団体で両国メイン”という快挙を達成することにもなる。
勢い、注目度上昇率では日本マット界随一とも言える存在になった石川。“三冠の巨人”の進撃はどこまで続くのか。
文・橋本宗洋