コナー・マクレガーとフロイド・メイウェザーのドリームマッチが決定し、盛り上がっているように見える総合格闘技界だが、常に右肩上がりだった状況に変化が起こりはじめているようだ。
目先、1ヶ月後の予想は明るい。マクレガーとメイウェザーの試合は、ラスベガスの賭博サイトでは500万ドル(5億5000万円)のお金がすでに動いたと言われている。またアメリカの「SHOWTIMEボクシング」が配信する2人の対戦のペイ・パー・ビューは、HD画質の配信は99.95ドル(約1万1000円)、画質が落ちるSD画質でも日本円で1万円と強気な価格だ。現時点の予想ではPPVの最高収益をあげたメイウェザー対パッキャオの6億ドル(約680億円<当時>)を軽々と超えるか、それに迫るものになるだろうと言われている。
そんな中、7月8日に開催された「UFC213」のPPVのセールスが12.5万から15万視聴と近年稀に見ない低い数字になることが明らかになった。当初予定されていた女子タイトル戦、アマンダ・ヌネスとバレンティーナ・シェフチェンコの試合が当日中止になるという波乱はあったものの、「UFC」と名乗る大会の中でここ3年でここまで落ち込んだのは、あまり人気がないと言われている軽量級王者、デメトリアス・ジョンソンがメインを務めた数試合のみという深刻な状況だ。
その一方、無料放送を続けてきた先日アメリカ第2の団体と言われる「ベラトール」が、先日開催したニューヨーク大会「ベラトール 180/NYC」(7月22日(土)13:00~AbemaTVで放送)の興行をペイ・パー・ビュー販売したところ9万~13万件と比較的好調だったことも話題になっている。ヴァンダレイ・シウバ対チェール・ソネンやヒョードルの復帰戦など懐古主義的なレジェンド中心の大会がある程度支持されたことを証明している。
ここへ来て、UFCが話題のカードを組むことに苦慮している点も見過ごせない。最近では、復帰が期待されている元レジェンド王者、ジョルジュ・サンピエールとマイケル・ビスピンが、サンピエールの目の怪我により開催が危うくなり、圧倒的な強さで王者になったバンタム級王者、コーディ・ガーブラントは戴冠後すぐに腰を負傷し復帰めどが立っていない状態と、スター選手不在の状況が目立つ。またローリー・マクドナルド、ロイ・ネルソン、ライアン・ベイダー、さらにはゲガール・ムサシと中堅からトップレベルのファイターまでが次々とUFCを去り、第2の団体「ベラトール」への移籍を遂げているのも気になるところだ。
元UFCファイターで、5月にベラトール移籍デビュー戦を行ったローリー・マクドナルドは、新天地で「約40万ドル(約4450万円)のファイトマネーを手にした」と同郷のMMAファイター、カジャン・ジョンソンが「The MMA Hour」ポッドキャスト版で証言し話題となった。が、ファイトマネーに関しても、ここ数年「コナー・マクレガーとロンダ・ラウジーとその他大勢」といった具合に2人のスターに多額のファイターマネーを払い、その他のファイターを蔑ろにし続けたツケといえるものだ。
試合数を増やし過ぎた結果勝てなくなったロンダ、価値が高騰しすぎたマクレガーと結果は違えど、この2大スターが今後UFCの舞台で戦う確率はかなり低いとも言われている。ここ10年近く好調を維持して来た総合格闘技ブームが、マクレガー対メイウェザーの8月26日以降もその人気を持続できるのか?は、新たなスター誕生にかかっているのかもしれない。
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