7月21日、新日本プロレスの後楽園ホール大会が開催された。この日はG1クライマックス・Aブロックの公式戦を実施。メインイベントでは“制御不能のカリスマ”内藤哲也がYOSHI-HASHIをデスティーノで下し、開幕から2連勝を収めている。
開幕戦でザック・セイバーJr.の腕殺しで古傷を攻められ、黒星スタートとなってしまったIWGPインターコンチネンタル王者・棚橋弘至はバッドラック・ファレと対戦。開幕戦とは打って変わって大型パワーファイターのファレに苦しめられた棚橋。右腕の負傷も完治しておらず、サポーターを着用しての闘いだけに苦しさは増す。
それでも、ここ一番で多彩なテクニックが使えるのが棚橋の強み。丸め込みでファレを撹乱すると、場外のファレにハイフライアタック。さらにはエプロンからスリングブレイドを放ち、リングアウト勝ちでポイントを獲得してみせた。スリーカウント、ギブアップが取れなくても勝てる。そんな「技あり」の頭脳プレーが光った一戦だった。棚橋が“初日”を出した一方、厳しい闘いが続いているのは永田裕志と真壁刀義だ。永田は後藤洋央紀に、真壁は石井智宏に敗れて2連敗。ベテランの巻き返しに期待したいところだ。
そして、この大会で最もファンを熱くさせたのは、飯伏幸太vsザック・セイバーJr.だろう。初対決の両者は、好対照な持ち味を存分に発揮。ザックがグラウンドで攻め込めば、飯伏は迫力の打撃で応戦していく。逆さ押さえ込みの要領で相手をひっくり返し、両手首を握ったまま立ち上がって顔面にヒザ蹴りを打ち込むという、筆舌に尽くしがたい独創的新技まで披露してみせた飯伏。最後はザックの飛びつき三角絞めリフトアップし、シットダウン式ラストライド。このリーグ戦で初の白星だ。飯伏は2年ぶりのG1参戦だから、2年ぶりの勝ち点2獲得でもある。
この勝利に「自分なりに納得がいく内容だった」と飯伏。またフリーとして試合数を減らし、ファンの前に姿をあらわす機会が少なかっただけに「この2年間、申し訳なかったです」とも。この勝利から、いよいよ飯伏が本格復活したと言えそうだ。
かつて飯伏と名タッグとして活躍、ライバルでもあり親友でもあるケニー・オメガは、ツイッターで大会後にこんな書き込みをしている。「初の勝ち点2だな! もうガッカリさせるなよ。このままいこうぜ」このツイートが誰に対してのものであるかは明らか。ケニーは飯伏のG1出場が決まると、決勝で闘いたいと公言している。
DDT時代から組んでも闘っても特別な関係であり続けた2人。飯伏の初白星は、決勝での“再会”に向けた第一歩でもある。
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