連日ベストバウトが続く新日本プロレス「G1 CLIMAX 27」(7月30日(日)00:37~ 開幕戦がAbemaTVで放送)。大会が進む毎に徐々に波乱も起きつつあるが、7月25日福島大会での、矢野通vsケニー・オメガは、大会前半の中の裏ベストバウトとして語る継がれることになりそうだ。
これもまたG1の夏…そんな言葉を裏付ける珍試合を、今年オカダとのIWGPタイトル2戦を含む“ベストバウト量産マシーン”ケニー・オメガが演じてしまった。ゴングが鳴ると矢野はケニーへ「CHAOS」DVDプレゼントを強要。拒否すると海野レフェリーに仲介を求め、手渡し開封を懇願。開けたら白い粉末で目潰しというお約束の罠に掛かるケニー。電光石火の丸め込みは、あわやカウント2.9でかわすが、視界を失ったケニーが、間違ってレフェリーに片翼の天使を仕掛けると、下から金的攻撃、そして再び丸め込む。その後も驚くようなスピードで四隅全てのコーナーマットを外し矢野のフィールドに…
金具むき出しのコーナーでの攻防、髪の毛の掴み合いという不毛な攻防に、会場からは失笑がもれたが戦う両者はあくまで本気だ。その後、リングサイドを駆け抜ける矢野を追いかけるケニーに、リング下に潜った矢野がバケツ攻撃、さらにはリングサイドで捕獲されテーピングでぐるぐる巻きにされ両足を固定される「オメガ・マーメイド」に対し、ケニーも報復し矢野の足をテーピングで拘束。両者がジャンプしながら殴りあい、バランスを取りながらレスリングをするという展開に。
そんな中、ケニーが両足での強烈なフットスタンプ、フルネルソンから高速での低空スープレックスで打開を図る。ここでセコンドのチェーズ・オーエンズがハサミを渡しケニーがテープをカットすることに成功すると、両足を拘束されたままの矢野へVトリガー。その後、場外に転落した矢野へ再びVトリガーを決め、立ち上がれない矢野はそのままリングアウト負け。
完全に矢野ワールドに引き込まれ失態を晒しつつも重要な勝ち点を掴みとったケニー。本人とっては嬉しくないかもしれないが、矢野通の生み出す「お笑いプロレス」への類まれな適応力という新たなポテンシャルも引き出された。
こんな試合がG1公式戦で行われたことに賛否両論が生まれそうな雰囲気だが、独特のフィールドに誘う矢野と、これから疲労蓄積のまま対戦しなければならない選手たちは、この男を舐めていると足元をすくわれ手痛い思いをすることになりそうだ。
(C) New Japan Pro-Wrestling Co.,Ltd. All right reserved.