中国最大手の検索サイト「百度(バイドゥ)」。人工知能AIを開発し、政府協力のもとネットで人探しを始めるなど新事業を拡大している。独自の進化を遂げる、中国の新たなネット事情とは。
■2億枚の写真を学んだAIによって27年ぶりの再会へ
「覚えているかい。会いたいわ」
携帯電話を前に涙を流すのは、付貴(フーグイ)くんの叔母だ。1990年、中国・重慶市に住んでいたフーグイくん(当時5才)はある日突然姿を消し、家族は探し続けたが27年間その行方は分からないままだった。
2016年12月、フーグイくんの家族は「たとえ亡くなっていても会いたい」という思いから、ボランティアの勧めで人探しサイトに息子の情報を登録する。一方、何者かに誘拐されたフーグイくんは、重慶市から約1800km離れた福建省で生活を送っていた。フーグイくん自身も自分が誘拐されたことに気付き、生みの親を探すため人探しサイトに登録していた。
生き別れとなった親子を結びつけたのは、中国のネット検索最大手「バイドゥ」の人工知能(=AI)だ。バイドゥは、中国政府が持つ200万人分、2億枚の写真をAIに読み込ませ、顔の経年変化を学ばせたという。この年齢操作を行ったAIの顔認証技術を使い、6万人の写真データからフーグイくんの可能性がある写真30枚を選び出した。その中にフーグイくんが入っており、最終的にはDNA鑑定を受け、親子は27年ぶりの再会を果たした。ベッドに横たわるのは33歳になったフーグイくん。病気治療中のため、テレビ電話での“再会”となった。
13億人の人口を抱える中国が持つ莫大な情報を活用し、検索サイト「バイドゥ」はビッグデータを応用する企業へと舵を切ろうとしている。
■「AIが作れる環境がすでにあるから出来ること」
東京・六本木にあるバイドゥ日本法人。日本で展開するビジネスのキーワードも「ビッグデータ」だ。モバイルプロダクト事業部部長の矢野りん氏は、「1兆データを超えるといわれるような、大きい検索によって生み出されたデータが会社の中にすでにあるということなので、それを活用していわゆるビックデータと言われるものにしつける。AIが作れる環境がすでにあるから出来ること」と話す。このデータを生かして、スマートフォン向けの日本語入力アプリ「Simeji」などを開発、展開している。
今後の展開について矢野氏は、「今後は『テクノロジーで複雑な世界をもっとシンプルに』という社是に変更して、もっとAIを具体的にどんどん活用していって、その技術を市場で試される状態にして、どんどん世の中を便利にしていこうと」と意気込みを語った。
(AbemaTV/『けやきヒル’sNEWS』より)
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