6月某日、我々「Abema格闘TIMES」編集部は後楽園ホールでプロレスを観戦。技をかけあったりジャレながら帰社・・・するはずだった。
編集部のケータイにはおびただしい数の着信履歴が残っていた。あの伝説のラッパー、D.O氏からの電話であった。電話に出ると、怒れるラッパーは後楽園ホール近くの居酒屋へ緊急招集を発令したのだった。(前編はこちら)
■マーク・コールマン、超大好きだけど会った瞬間、「フ××キュービ×チ!××××」ってカマしてやった(笑)
編集部:やっぱりヒップホップと格闘技はすごく似てるんですね。
D.O:似てると言えば似てる。ルールはあるんだけど、イエスとノーの線を誰がひくかは自由というか。本人たちが全てだと思うんですけど、恨みっこなし、かつ平等で、時にはムチャクチャしてでも結果をアリにすればアリ。だけど当然、中途半端にするならナシだぜ?っていうのも含めて。
編集部:だから熱狂するファン層もかぶるんですかね?
D.O:最近になってからかもしれないけど、ストリートの限られたスペースで、どっちが強えーだの弱えーだの言いながら、無理してでもぶつけ合わなきゃいけない、みたいなスペースはやっぱりあって。その中で繋がったり、距離だったりさじ加減だったり、諸々が近づいてくるのは当然だね。
もっと言えば、ファイターのほとんどはアウトローであり、アウトサイダーだと思うんだよ。マジメな、それこそ悪友を持つこともなく、なんか五輪選手のようなピュアでクリーンなファイターもいると思うけど、それと同じくらい、ストリート上がりの、腕自慢の世界になってくるから。そういうファイターの世界に、やっぱりねえワケはねえってことで。
でも、ストリートとオーバーグラウンドを両立する奴もいる。もっと言えば、プロレス界だから/格闘技界だから、本気出せない人もいると言われてるじゃないですか。じゃあ全部一回降りてきて、ストリートでやらない? みたいになったら誰が強いのか?とか。
格闘技も、ストリートとヒップホップも“面倒”ってのは、やっぱりずっとあるね(笑)。
編集部:D.Oさんの“面倒”な経験は・・・・
D.O:マーク・コールマンでやってきたね。
コールマンなんて俺ら、TVゲームでパワーバランスがヤバくて誰もがアイツを使ってんだよ。超大好きだよ? だけど会った瞬間、「フ××キュービ×チ!××××」ってカマしてやった(笑)
編集部:噂では聞いていましたが・・・・
D.O:向こうも「何だよアイツ!?」って、キレてて。俺に超キレてて、鈴川を超えて俺に来るっていう(笑)。そんなことしてたら、途中から僕らにも攻撃来るようになって。澤田(敦士)なんて俺ら狙って走ってきて、練馬(※練マザファッカー)の3~4人リングサイドでボコボコにされて(笑)。
そのあと、鈴川が怒って澤田の所に行ったら、そのまま僕らもリングに上がってストンピング入れて(笑)。なんで俺らまでプロレスやってんだよ? つって。
そんな全部を体感しながら、ラップよりも手も足も出しながらね(笑)。融合の仕方とか、ミラクル中のミラクルなわけですよ、そのWアップドリームみたいな、ヒップホップとプロレスのドリームが重なっちゃって、それがものすごい展開になっちゃった。どうなっちゃうんだろう? って。おもしれえ以外ねえだろ! と。
編集部:最高ッす!(笑)
D.O:そういえば前に新宿歩いてたら、ピーター・アーツが後ろからフルチョーク入れてきやがって。
「殺される!」と思ったら、「ビビッた~?」とか言って(笑)。「貴様、ケーサツ呼ぶぞ!」って(笑)。
■地下格闘技の世界は『幽遊白書』の暗黒武術会レベル
編集部:さらっと話すエピソードがヤバすぎッす!(笑)
D.O:地下格闘技とかもさ、それこそ入れ墨だらけのヤツ、どこどこの暴走族のアタマだとか、どこかのストリートのあのチームのアタマがさ。
各地元の、ホントに『幽遊白書』の暗黒武術会みたいな、出てくる奴が強すぎると客も死んじゃうみたいな、アレ級のヤツね(笑)。
「戸愚呂兄弟ヤベー! 1発入れたら客半分くらい死んじゃったよ!」みたいな、地下格闘技とかはあれクラスになってくるんで。
入場の途中で乱闘始まっちゃって、リングに辿り着かねえみたいな(笑)。お互いのサポーター同士が「何メンチ切っとんじゃいボケカス!」「なにコラ貴様~!」とかって花道に入り込んできちゃって(笑)。
あと、よく見たら映っちゃいけない奴らが皆リングの上に来ちゃって、「ちょっとちょっと!」ってムチャクチャな状態になってるのを止めたら、なんか会場の密度がゆったりしたな? と思って。そしたら、開場の外で300人対300人くらいで「コラ貴様~! 看板出しよったな~~!!」とか言って、マジのファイトに切り替わってたりね(笑)。そういうものからオーバーグラウンドなものまで、全部が格闘技なんで(笑)。
そういうのが出てきたりして、ずっと練習してきたやつとも渡り合ったり、時には勝ったり負けたり。
その感覚とかも、全部が“格闘技イズム”というか、繋がってるんですよね、ストリートと連動してるんです。
そういう面でヒップホップは、その時点で無縁ではなくて。そいつら当然のごとくフリースタイルするし、そういう奴らだから音源とかも作れてレコーディングできて、自分たちのテーマソング作って、それはそれで発売するし物販で売るし、ヒップホップなんだよね。ステージで殴り合うのかラップするのかだけの違いよ。
編集部:格闘とヒップホップがつながったっすッ!
D.O:つまり、そういうものをプロレスや格闘技からはゲトらせてもらってるって話。皆さんは色々な責任を果たしてて、そこで戦わなきゃいけないものと戦ってて……俺達もそうだな!と。
僕らならではというか、僕らなりの新しい“ヒップホップ・ネオ”というか。2017年スタイルみたいなものを意識しながら、ヒップホップ前線の人間として責任を持つみたいな事を言いたいわけよ。
編集部:急にまた良い話!あ、ありがとうございましたッ!!