陸上自衛隊が南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報を廃棄したと説明しておきながら実際は保管していた問題で、28日、特別防衛監察の結果が出た。それによると、黒江前事務次官と岡部陸上幕僚長の関与を認定する一方、稲田氏の関与については極めてあいまいな表現にとどまっており、稲田氏自身も会見で「(保管の事実を非公表とする方針について)報告を受けたという認識は今でもない」と、改めて"潔白"を主張した。
特別防衛観察の結果について、AbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した元防衛大臣の森本敏氏は「検事などがこれだけ集まって、数千人にアンケートを取って、個別に聞き取りした調査なので、これ以上のことをできるのか」として、ある程度の評価ができるものとの認識を示した。
その上で、「自分が防衛大臣だったからよくわかるけれども、大臣のところに来る場合というのは、防衛省・自衛隊の中で最高の意思決定プロセス。"状況を報告します"、"この決裁を求めます"と理由を付けて入ってくるので、"了承しません"、あるいは"この情報を持ってきたら許可します"などの判断を行わなければいけない。決断を求めるべきだったら、陸上幕僚長が"以上、ご説明した通り、ご決済いただけますね"と確認する。報告をする方が曖昧で決断も求めない、大臣も"決裁しません、了承しません"とお互い言わないで分かれたとなると、そのプロセスが動いていないということ」と指摘した。
問題となっている日報について森本氏は「1日平均70ページぐらい、100日で7000ページ。紙で出すのではく、陸上自衛隊のネットワークを通して電子メールで送られてくる。現地の指揮官は全部チェックするが、70ページ全てを司令官に出すことはしない。幕僚が要点だけを数枚にまとめて、後は期間を決めて自動的に廃棄する」と実際の運用について説明。その上で「手続き的には行政文書なので、情報公開法に基づいて、求めがあれば公開しなければならない法律上の義務がある」とした。
その一方、「あまり指摘されていないが、今回の日報問題では、自分たちだけが不利な状態に置かれていると不満を持っている人が陸上自衛隊にはいて、NHKの覆面インタビューを受けてみたり、メモを出してみたりと、メディアに対する意図的なリークが行われた。僕はこれはあってはならんと思う」と指摘。「出てきた情報は特定秘密ではなく、グレーゾーンな部分ではあるが、本来は不満があれば、やはり指揮系統に応じて大臣に意見具申すべきものであって、他の手段をもって、ある種の"工作"をするというのは、本来あってはならん」と厳しく批判した。
稲田大臣の下、黒江前次官や岡部陸幕長も含め、すでに防衛省・陸上自衛隊の幹部5人が処分を受けている。森本氏は「まだ処分は終わっていない。新しい大臣の下で、順繰りに、多人数が処分の対象になっていくだろう」と推測した。
今回の日報問題をめぐっては、内閣改造後の8月7日の週に閉会中審査を行うことになっているが、稲田氏の出席については調整中だ。
これについて森本氏は「大臣は特別防衛観察の結果について国会で説明なさるのが当然だと思う。ただ、自衛官を国会に出すということないかなることでやったことがないので、(岡部陸上幕僚長などの出席は)無いと思う。日本はそこまで民主主義の手続きが成熟していない。自衛官にとっても、特殊な技術がいる国会答弁というのは難しいのではないか」とする一方、「PKO部隊の指揮官が最後の報告は、国会できちっと自ら説明する場を与えるのは良いと思う」とコメントした。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)
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