2020年の改憲を目指し、秋の臨時国会に自民党案を提出するという強硬姿勢を崩さなかった安倍総理に、変化が表れた。
憲法9条1項、2項はそのままに、3項を追加して自衛隊を明記するという独自案も示していた安倍総理だが、会見では「スケジュールありきではない」と述べ、二階幹事長も「今すぐ憲法改正で口からエンジンをふかすとか、そんなことはする必要ないんじゃないか」とトーンダウン。公明党との調整役だった高村副総裁も「各党のそれに対する考え方、そういったことをしっかり見ながら、目標とは絶対的なものではない」、岸田政調会長も「憲法9条についても様々な議論がある。その中にあって、まずは党内において、丁寧に議論を行うことが重要だ」と指摘している。
5日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「色々な議論があるが、自民党が2012年に決めたもの自体が少し荒っぽいんじゃないかという声が党内にもある。一方で今回の人事で、憲法問題の調査会の顔ぶれは変わらなかった。このことを考えると、スピードアップしたいと総理は思っていたが、ともかく党に任せて、あまり口は出さないようにすると。本来は国会の発議から始まるわけなので、内閣があまり先頭に立つのはマイナスになるという判断をしたのかもしれない」と話す。
自民党の佐藤正久・参議院議員は「2012年の自民党改憲草案には私もかなり深く関わった。ただ、この案で国会で3分の2を得て、国民投票にかけるかどうかは別の話だ。自衛隊の方々は、自分たちが憲法違反だと言われると、非常に胸にグサッと刺さる。陸上競技でもホップ・ステップ・ジャンプがあるように、まずは自衛隊は少なくとも憲法違反ではないということを一歩目としてやったらどうだというのが安倍総理の思いだろう。すでに自衛隊は合憲だという立場だが、それをより明確にするためにも2項を変えたほうがいいというのが私の立場。安倍総理も石破茂さんが言われるように、9条2項の戦力不保持と3項での自衛隊明記の整合性が取れないということは当然分かっているだろう。自衛隊の応援団であっても、安倍総理の案では2項との整合性が取れないじゃないか、これでは甘い、と反対する可能性がある」と話す。
その上で佐藤氏は「小さい一歩かもしれないが、自衛隊のことを書くだけでも相当な議論がある。軍にすべきだという意見もあるし、今のままでも合憲だからわざわざ書く必要もないという意見もある。議論が大事で、それがなければ次に繋がらない。自民党内の議論がないというのもおかしいし、すでに党で意思決定した憲法草案があるので、それを変えるためには、議論や手続きが必要だという石破さんの指摘も正しい」とした。
同じく自民党の松本文明・衆議院議員は「世界の先進主要国で、自国の憲法を議論なしで持っている民族は日本しかない。この憲法がGHQに押し付けられたとは言わないが、当時メディアが検閲を受けて、批判的な文章は新聞さえも載せられないという環境の中でできた。憲法は時代に合わせて変わっていかないといけない。そのためには一回変えたら50年、100年変えませんという内容ではなく、常に国民の中に選択肢を出していって、変えるべきところは変えるものだ」とコメントしていた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)
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