昨シーズン限りで現役を引退し、現在は東京ヴェルディでユース監督兼GM補佐を務める永井秀樹氏の引退試合「OBRIGADO NAGAI」が、14日に開催される(AbemaTVで16時20分から生中継)。
この試合には、ラモス瑠偉氏、武田修宏氏、北澤豪氏などJリーグ創成期の象徴ともいえるチームだったヴェルディ黄金期のメンバーが集結する。当時の日本代表の主力がそろったスター軍団ヴェルディで攻撃的ミッドフィルダーとして活躍していた永井氏に、当時のチームでのエピソードを聞いた。
――今回、VERDY LEGENDSとして、ヴェルディ黄金期にチームを支えた往年の名選手が集結します。当時の思い出を教えてください。
永井:今とは何もかもが違いましたね。どこのスタジアムに行っても観客席は満員で、新幹線で移動する時もホームに人が溢れて出発できなかったり……。テレビ番組の取材に呼ばれても大物芸能人の方々が向こうからあいさつに来てくれていました。僕はアイドル誌の表紙も飾ったんですよ。藤吉(信次)と2人で沖縄ロケに行ってマウンテンバイクにまたがったり、ジェットスキーに乗ったりして(笑)。原宿のタレント写真が売っている店に僕の写真があると聞いて、一度変装して見に行ったんですよ。そうしたら1番人気のところに飾ってあって、店のおじさんに『今、この人人気あるんだよ~』なんて言われました。目の前にいるのに(笑)。
――当時は選手たちの派手なプライベートも話題になりました。
永井:試合の打ち上げは、毎回ジュリアナ東京でした。試合が終わって会場を出て、ジュリアナ東京で再集合するんです。当時大人気で入店を待つ行列が田町駅まで続いていましたが、僕たちはそれを横目に車でスーッと乗り付けるんですよ。ラモスさん、カズさん、北澤さん……いろいろ思い出がありますが、言えないことばっかりです。カズさんのエピソードは質がいいけど、たけちん(武田修宏)はもっと言えないよ(笑)。
――試合の日の打ち上げだけですよね?
永井:もちろんです!しっかりとオン・オフを切り替えて体調管理ができないと、選手として生き残れませんから。ここはちゃんと書いておいて(笑)。
――では、ヴェルディ時代の一番印象深い試合は?
永井:1992年のナビスコカップ、1戦目のアウェー・サンフレッチェ広島戦です。僕はルーキーでスタメン入りしていました。試合前にウォーミングアップしている時、都並(敏史)さんに『この(ヴェルディの)エンブレムの重みを感じてくれ。俺たちは読売クラブでの給料が月10万円の時代から、このエンブレムの価値を上げるために頑張ってきたんだ。やっと今、この満員の観客の中でプレーできる。当時は夢にも思ってなかった。お前も、やっと今ここまで来たということを感じながらプレーしてくれ』と言われたんです。それを聞いた時にたくさんの人の想いを背負ってピッチに立っていることを実感しましたね。今でも鮮明に覚えています。都並さんは今回、予定が合わなかったけど、実は一番試合に来たがっていたんですよ。
――メンバーには故・松田直樹さんも名を連ねています。
永井:直樹とは(横浜F)マリノス時代に2年間チームメイトで、代表候補合宿でも一緒にやっていました。今現在にいたっても、あれだけのDFは見たことがない。クレバーで、サッカー選手として必要なすべての能力を持っていて。性格はやんちゃなんだけど純粋で人懐っこくて人間としても好きでした。今回、試合に呼ぶメンバーを考えている時、真っ先に彼の名前を『3番』のところに書きましたからね。きっと試合にも来てくれるはずです。ノイズでもいいから入ってきてほしい。
――最後に試合への意気込みをお願いします。
永井:これだけのメンバーが揃ったので、Jリーグの歴史を思い出して、楽しんでいただきたいです。なにかしらの感動をサッカーファミリーで共有できたら、と思います
この試合の模様はAbemaGOLD・AbemaSPORTSの両チャンネルで夕方4時20分から生中継される。
写真:(C)厚地健太郎/AbemaTV