■「漢のミルフィーユ」「冷やしかつ丼」など新機軸も続々

 東京・池袋。真夏にも関わらず、長蛇の列列ができている店があった。その名も「とんかつは飲み物。」。「店の名前は概念。おいしいものをお腹いっぱい食べてもらいたいという気持ち」(山本勝利営業部長)。看板メニューは、赤身のロース肉を使った淡麗とんかつ、やわらかく口どけのよい脂と強いうまみのある濃厚とんかつ、さらに牛カツを使った"3段重ね"のメニュー、「漢のミルフィーユ」だ。

 来店者たちからは「飲み物のようにゴクゴクと勢いよく飲めるというわけではないが、かきこめるくらいのおいしさはあった」「ボリュームがあっておいしかった」「ヒレカツに近い感じですっと食べられておいしかった」「やわらかくておいしい感じだった」と高評価だ。

 先月28日にオープンしたばかりだが、ネット上では奇抜な店名がオープン前から話題となっており、開店記念の80食限定・500円引きキャンペーンも口コミで広がり、宣伝費はゼロだったという。

 渋谷の「かつ吉」が提供するのは「冷やしかつ丼」。とんかつの上にトロロ、梅肉、みょうが、大葉、そして濃い目の特製醤油ダシにクラッシュした氷が加えられ、キンキンに冷えた状態で提供される。暑い日にとんかつの売れ行きが伸びなかったことから、夏の名物を作りたいと試行錯誤、1年がかりで完成させたという。口にした客からは「合うのかなと思ったが、意外とスープも飲みやすい」「意外とカツもビショビショではなくて、サクッとしていておいしかった」との感想が聞かれた。

■「かつや」は11期連続の増収、「松のや」は14期ぶりに最高益

 今、様々な企業がとんかつに熱い視線を注いでいる。とんかつ、カツ丼の市場規模も、2015年は381億円で前年比21%増、2016年は444億円で前年比16%増(「富士経済」調べ)と、拡大を続けている。ブームを逃すまいと、すかいらーくグループ、丸亀製麺などを手がけるトリドールホールディングス、リンガーハット、ダスキンなども参入を始めた。

 その成長を牽引しているのが、"ワンコインとんかつ"だ。最大手の「かつや」は490円で提供するかつ丼が爆売れし、なんと11期連続の増収を達成した。そして、そのかつやに迫るのが、牛丼でおなじみの松屋フーズが手がけるとんかつ専門店「松のや」だ。

 熟成チルドポークを使った、やわらかくジューシーなロースカツは衣もサクサクで食べごたえ十分な上に、価格は500円だ。来店者たちは「家で作るものでもないし、ワンコインで食べられるので、前よりもとんかつを食べる頻度が上がった」「ちょっと贅沢したいなって時に。でも安いし、おいしいしでいつも松のやに来る」と話す。

 50年前に牛丼店をオープンさせた松屋がカツ事業に参入したのは2001年。当初はチキンカツを提供していた。その後、高級志向のとんかつ店などを経て、"ワンコイン"の「松のや」を展開するようになった。同社「松のや企画グループ」の奥野隆弘氏は「女性の社会進出などで揚げ物を家庭で作るのが億劫かなという社会情勢を含めて、とんかつがウケるのではないかということで力を入れている」と話す。3年前から店舗数が急増、14期ぶりに最高益となった。


■TPPも業界にとって追い風に? 

 とんかつ市場が成長している背景について、「月間食堂」の通山茂之編集長は「一つは、女性の社会進出、引退した団塊世代など老夫婦だけの世帯の増加で、家庭で揚げ物をやらなくなってきているということがある。つまり、家庭で行う調理の"アウトソーシング化"が進んでいる。"牛カツ"という新しいジャンルも出てきており、揚げ物全体が伸びている。もう一つは、揚げ物は時間管理と温度管理ができれば品質がぶれにくく、システム化しやすい。外食業界は人手が足りない状況なので、パート、アルバイトでも安定した品質が出せるというのは外食チェーンにとって魅力」と話す。

 また、「HOT PEPPER」が訪日外国人に対し「おいしかった食事」についてアンケートを取ったところ、とんかつ(カツ丼やカツカレーを含む)はラーメン、刺身に続いて第3位にランクインしている。「一口目に食べた時の脂質、糖質、塩分がおいしさを決める3要素。その意味で、とんかつはパンチがある食べ物。世界的にみんながおいしいと感じやすい食べ物」(通山氏)。実際に、海外でかつやは29店舗(フランチャイズを含む)、松のやは9店舗を展開している。

 また、TPPによって豚肉の関税が下げられ、将来は撤廃される見通しであることも、業界にとって追い風となりそうだ。通山氏によると、米国産牛肉の価格が下落した際には、牛丼チェーンやハンバーガーチェーンの値下げが起こり、「牛角」などの焼肉チェーンが勃興したのだという。 

 今後について通山氏「かつやは現状の400店から600店まで拡大する計画。牛丼チェーンの熾烈な争いに比べ、とんかつはまだブルーオーシャンと言っていいかもしれない。これまでとんかつは食べ方のバラエティに乏しかったが、高田馬場にはとんかつを部位ごとにコースで出すお店が現れ、膝を打った」と話し、業態も含め、さらなる伸び代があるとの見方を示した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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