8月20日、ディファ有明で開催される「PANCRASE289」(15:00~AbemaTVで生中継 )。マモル対仙三の16ヶ月ぶりのタイトルをかけたリマッチ、連勝街道に土をつけられた敵、高木健太に再び挑む佐藤天など、リベンジという言葉が頭をよぎるカードが並ぶが、やはり気になるのは、パンクラス対DEEPという日本を代表する総合格闘技団体が真っ向から対抗する5vs.5の対抗戦だ。
2014年の大晦日の対決など両団体が対抗戦を行うのは初めてではないが、日本を牽引して来たパンクラスとDEEPによる「格闘界のダービー戦」の本格的開戦となるのが今回の大会となるが、なかなか興味深いラインナップが揃った。
プロレスと総合格闘技両方が好物の人たちのセンサーにもれなく引っかかるのが、プロレス経由のMMAファイター、佐藤光留と桜井隆多の対決だろう。敢えて表現するなら「忘れた頃にやって来たガチのゴッチイズム対決」とでもいおうか・・・
全日本プロレスを主戦場に、パンクラスでもMMAの試合をコンスタントに行っている佐藤。今でこそ「プロレスラーがMMAに参戦」と聞くと異端な雰囲気に取る人も少ないないかもしれないが、パンクラスの本流から、鈴木みのるのパンクラスmissionへ移籍、その後DDT、全日本、リアルジャパンなどのリングを踏むという王道といえる選手だ。
対する桜井隆多も、その原点はフロリダ、カール・ゴッチ道場。プロレスをやるつもりがプロ修斗、DEEPと流れ、PRIDE参戦時には、日本で最もUFC王者に近づいた男、岡見勇信とも戦った。その後DEEPでミドル級王者として君臨、00年代を代表する選手として君臨し45歳になった今もなお衰えない情熱とテクニックと共に今回の対抗戦に「DEEP代表」として上がる。
より専門家した技術を吸収し強い選手を作り上げる昨今のMMAに対し、佐藤光留と桜井隆多の対決には日本のプロレスが創り上げた独特のMMA文化の香りが漂う。ゴッチイズムを継承する男2人が、パンクラスとDEEPという2団体のメンツをかけて大将戦を行う、ちぐはぐだが、実にロマンを感じる対戦といえるだろう。