こんにちは。青木真也です。時差ボケ真っ最中です。8月17日から21日まで、宇野薫選手の試合サポートでロンドンに行って参りました。今回、宇野選手が出場した「ポラリス」はグラップリング(打撃がない組技の試合)の世界トップ選手を呼び集めて行うプロ興行です。この場に呼ばれることが名誉なこと。宇野薫の世界的な名前の大きさ、リスペクトを感じます。
対戦相手はヴィトー・シャオリン・ヒベイロ(ブラジル)。柔術世界チャンピオンで、MMAでも世界タイトルをいくつも獲得している、レジェンドの名にふさわしい選手です。ちなみに僕もMMAで、試合をさせてもらったことがあります。散々、寝技勝負と煽り煽られ、観客の期待が高まったところで打撃戦を仕掛け、手堅く塩っぱく判定勝ちをしました。初めてのブーイングは甘酸っぱかったです。それはそれとして。青木真也が寝技を避けるくらいの選手だと思っていただけたら強さが伝わりますでしょうか。
シャオリンとの試合を、相手の土俵で快諾する宇野薫選手は、高田延彦が言うところの「男!」です。
試合はシャオリンがチョークスリーパーで一本勝ち。宇野選手は、完全に極まったかと思われた腕十字を、得意の“宇野逃げ”で逃げる。まさに真骨頂で、その日一番の会場の盛り上がりでした。フィニッシュも最後まで、勝負をあきらめなかったので落ちた(意識を失う)。
ロンドンでも宇野薫は宇野薫でした。試合後、負けた宇野薫への大きな拍手。ロンドンの観客が、宇野薫のこの試合への取り組みを、支持した拍手だと感じました。尊敬、感動、感激などのポジティブな感情が会場に溢れ幸せな空間でした。
間近で見ていた僕には、宇野選手が終始楽しそうにしていたのが、印象的でした。一生懸命取り組んで、一生懸命闘った。充実していたと思うし、本人も楽しかったと試合後に語っていました。素直に格好いいと思います。今回、宇野薫の闘いを間近で見れたことは僕の財産です。感じることがたくさんあったので、自分の身にしていきます。
イギリスでの滞在ですが、ウェブで調べると飯が高くてまずいと評判です。物価は高いけども、僕はそこまで不味いとは感じませんでした。確かに物価は高いです。今は円が強くないので、より強く感じるでしょう。タイミングで変わるものだと思います。僕はイギリス=不味いの印象はないです。むしろ、ホテルの朝食が、美味しかったといい思い出です。
街の雰囲気は好きでした。何をしたわけでもないのですが、空気感が良かったです。
ウェブで読んだことと自分で感じたことが違うことがあります。自分で見て感じることは大切だと思います。これはすべてのことで言えるはずです。自分の目で見て感じることを大事にしていきたいです。
帰国したら日常が戻ります。コツコツと目の前にあることに取り組んでいきます。活きてます。明日また生きるぞ。
文/青木真也(格闘家)