先々週ワシントンで開催された外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)。日米は日本の防衛力強化で一致、小野寺防衛大臣は「米国とともに日本の防衛力強化に取り組んでまいります」とコメント、地上配備型の迎撃ミサイル「イージス・アショア」を導入する方針を米側に伝えたという。

 「イージス・アショア」」について、金沢工業大学虎ノ門大学院教授で海上自衛隊・元海将の伊藤俊幸氏は「1セット700億円、2セットが必要なので1400億円はかかり、弾がだいたい一発10億~20億円といわれます」と話す。ロッキード・マーチン社製で、トランプ政権の「Buy American」政策にも沿う形だ。一方、自衛隊幹部からは「正直、迎撃ミサイルすら満足に揃えられていないのが現状。そんな中で巨額のイージス・アショアを導入するのは、現場としては複雑だよね」といった声も聞かれる。

 26日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した自民党の青山繁晴・参議院議員は「朝鮮半島情勢を利用して儲けようという動きがあるのも確かで、そういうことまで商売にしようとするのがアメリカのビジネスの歴史だ。トランプ政権だけではなく、軍需産業がアメリカを支えてきた。イージス・アショアよりもTHAADの方が高いので、商売が目的ならTHAADを買えと言ってくるはずだ。日本はそういうアメリカの圧力も考えつつ、戦争にならないよう自分たちの頭で冷静に抑止力を考えなければいけない。僕は一人の国民として高いとは思っていない」と話す。

この記事の写真をみる(2枚)

 元防衛大臣の森本敏氏も、「在日米軍と自衛隊の役割分担では、日本の防空は日本が担うことになっているので、スクランブル発進も航空自衛隊が行っている。当然日本のミサイル防衛も日本が行う」とし説明した上で、「北海道から沖縄までという広い範囲をカバーするには、動かせるイージス艦と、2基のイージス・アショアを併用して行うのが最もコストパフォーマンスの高い方法」と指摘。「一挙にシステムを全て買うというわけではない。今年度は調査費を付けて、何年もかけて整備していく。単年度でできるものではない」として、直ちに配備が完了するものではないと説明した。

拡大する

 コリア・レポートの辺真一氏は「安倍総理の言葉を借りれば、北朝鮮は"3本の矢"ならぬ"4本の矢(ミサイル)"で日本を狙っている。アメリカと北朝鮮の間で事が起こった場合、当然日本も無関係ではいられない。導入は早ければ早いほどいい」と指摘した。

 韓国では、イージス・アショアではなく、より高額なTHAADが導入されている。

 このことについて森本氏は「韓国のTHAADは北から入ってくるものを迎撃するもので、南方の海上から潜水艦で撃ってきた場合に対応できないかもしれないというのは確かに指摘されていること。日本のシーレーン防衛を考えれば、潜水艦はどこから発射してくるかわからない。アメリカの場合、本土を守るのがGBI、ハワイはイージス・アショア、グアムはTHAADで守っており、地域で特色を持たせている」として、日本がTHAADではなくイージス・アショアを選択するのは妥当だとした。

 青山氏は「イージスシステムでの迎撃が失敗した場合、PAC3で対応することになるが、ここにTHAADを入れれば日本のミサイル防衛はより強固なものになる」と説明した。

 そんな矢先、横須賀を拠点とする米海軍第7艦隊のイージス艦が相次いで衝突事故を起こし、日本海に展開する海上自衛隊のイージス艦へのさらなる負担も懸念される。村川豊・海上幕僚長も会見で「7隻中2隻が使えないという話。この影響がまったくないことはない」とコメントしている。海上自衛隊では現在4隻のイージス艦が交代で警戒監視を続けているが、防衛省では予定を前倒しし、5隻態勢とする方針を固めた。

 森本氏は「在日米軍にはイージスシステムを積んでいる巡洋艦、駆逐艦が合計7隻ある。このうち2隻が事故に遭ったので28日までに一斉点検をするという命令が出ている。だからと言って、何か大きな問題が我が方に起きるというわけではない。常に日米で緊密に連携して、必要なところに運用できるようにしているので心配ない」と明言した。ただし、「全体として在日米海軍の戦力が少し減っているので、注意して運用しないといけない」と指摘。

 また、青山氏は「もともとあと数週間で定年退職の予定だった第7艦隊司令官がいきなり解任となった。アメリカのやりかたとも言えるが、これから朝鮮半島でひょっとして有事かもしれないから、事故を奇貨として、ここで示しをつけることでむしろ緊張感を高めているのではないか」と話した。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)


▶次回『みのもんたのよるバズ!』は2日(土)20時~生放送!

みのもんたのよるバズ! | AbemaTV(アベマTV)
みのもんたのよるバズ! | AbemaTV(アベマTV)
2年半ぶりにキャスター復帰!みのもんたが未来の日本を担う若い世代に向け、若手タレントなど女性出演者と共に世の中を!権力を!斬ってバズらせます
【無料】みのもんたのよるバズ! - Abemaビデオ | AbemaTV(アベマTV)
【無料】みのもんたのよるバズ! - Abemaビデオ | AbemaTV(アベマTV)
見逃したみのもんたのよるバズ!を好きな時に何度でもお楽しみいただけます。今ならプレミアムプラン1ヶ月無料体験を実施しています。
AbemaNewsチャンネル | AbemaTV(アベマTV)
AbemaNewsチャンネル | AbemaTV(アベマTV)
AbemaTVのAbemaNewsチャンネルで現在放送中の番組が視聴できます。
この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(2枚)