ここ数年、女性ファンが急増したと言われるプロレス界では「プ女子」という言葉も生まれ、「女性ファンに人気のイケメンレスラー」がメディアに取り上げられることも珍しくない。その一方で、真剣にプロレスを見ている女性ファンからは「べつにイケメン目当てじゃない」という声も。もっともな話だ。
トーナメント「W-1グランプリ」を制してタイトル挑戦を決めたイケメン
ただ老若男女、新規ファンも古参ファンも夢中にさせてしまう魅力を持った“イケメン”もいる。それがWRESTLE-1(W-1)の黒潮“イケメン”二郎である。見た目はというと、写真の通り。
幼少時代から父親の影響でプロレスを見てきたイケメンは、14歳で『ハッスル』の練習生となり、紆余曲折ありつつも19歳でデビュー。W-1で急成長を遂げた。この9月で25歳になる。
「僕はマスクマンならぬジャケットマン」と名乗り、試合の時でも派手なジャケット着用。福山雅治の「HELLO」で入場すると、会場の雰囲気、その華やかさが一気に3倍増くらいになる。客席になだれ込んだりしつつ、リングに入りそうで入らない“じらし入場”で一曲まるまる使うことも。試合中、序盤だろうが中盤だろうが「フィニッシュ!」と宣言して技を繰り出すことでもおなじみだ(結果、返される)。
といって単なるコミックレスラーではない。抜群の運動神経で繰り出す技はあくまで華麗であり、真のフィニッシュ技はムーンサルトプレス2連発だ。全日本プロレスの宮原健斗、DDTの竹下幸之介らとともに、プロレス界の新世代を担う存在と言っていい。
9月2日、W-1最大のイベントである横浜文化体育館大会では、メインで芦野祥太郎のシングル王座に挑戦する。トーナメントを制してのタイトル戦進出だから人気だけでなく実力、勢いもつけての挑戦だ。
レスリングをベースにアンクルロックを武器とする芦野は、W-1に「殺伐とした闘い」をもたらすのがモットー。イケメンとは対照的な個性の持ち主だが、やはり新世代の騎手と言える。
カズ・ハヤシ、近藤修司、征矢学などキャリアのある実力派も多いW-1にあって、新世代の2人がメインでタイトルを争う意味は大きい。以前から「俺がW-1を引っ張る」と言い続けてきたイケメンが勝って不動のエースになれば、W-1の風景は大きく変わるはずだ。それを阻止しようとするからこそ、芦野の個性も際立つはず。
一度見れば誰もが魅了される“イケメン”の大勝負、すべてのプロレスファンにオススメしたい。
文・橋本宗洋