次世代のラッパーの発掘をコンセプトとした新たなオーディション番組『ラップスタア誕生!』。第1回放送が終了し、10人のラッパーが選出された。ベテランラッパー・RYUZOの立案の元に始動したこの番組で審査委員長を務めるのは、日本語ラップ界のご意見番・Kダブシャインだ。

果たしてファイナルステージに進む5名は、どのラッパーなのか? そして優勝賞金300万円を手にするのは……!? いまだ全容が見えないこの新オーディション番組について、Kダブ氏にインタビューを敢行。予想通り好き放題……もとい、忌憚のない意見を伺うことができた。

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■いつの間にか審査委員長ってことになってた(笑)

―『ラップスタア誕生!』の番組の審査委員長になったのは、どんな経緯でしょうか?

Kダブシャイン:知らない、俺が決めたわけじゃないもん(笑)。いつの間にか審査委員長ってことになってたみたいで。まあ最年長だからなじゃない? ラッパーの中でも一番口うるさいほうだし(笑)

―応募者の映像は全てご覧になったんですか?

Kダブ:見たよ。230本くらいかな。

俺はどうしても、ラップの歌詞/ライムでどこまで表現できるか? っていうところが気になっちゃう。それは将来性とか、それこそピークが過ぎても他人の曲を作れるとか、そういう部分も。ただ「人気者になれるか?」っていう視点も大事だから。

ホントの意味でのスターだとしたら、20~30年の間ずっと王者でい続けられる人を輩出したいなっていう思いもあるからさ。どうしても、パッと人気が出そうなとこよりも「なんか色んなストーリー持ってんじゃないかな、この子?」っていう方に注目しちゃう。

―ではKダブさん的な選考基準が何かあったら教えてください!

Kダブ:(今回は)皆がそれぞれ何人かずつピックして、それを集計して最後の候補を選んでるんだよね。まず最初に20人、そこから10人に。それはかなり民主的に行われてて、だから俺が最初に5~10人選んでくれって言われた時の子が最後の選考に入ってたわけじゃないんだよね。

―選考とは別にエンディングで気になったラッパーを紹介していましたね

Kダブ:あれは“変化球枠”って感じかな。こんだけ世の中の“拾われない声”みたいなものがラップに乗せられて、こんな風に集まってくるっていうのは、社会現象として面白いでしょ? っていう。それを番組の最後にどうしても言っておきたかったの。

―今回のテーマ(自らの生い立ちや人生など「自己紹介」)で多くの応募が来るっていうこと自体、それだけ言いたいことある人がいるっていうことですよね。

Kダブ:「自分を何とか表現したい」っていう、その表現の場さえあれば赤裸々に・・・っていうね。それもラップだから出来てるのかもしれないし、ラップでそういうことやってるのを聴いたことがあって「自分もやろう」とか、「ここだったらそれが出来る」って思ってるのかもしれない。そう考えると、世の中にはまだ全然過小評価されてるけど、すごいポテンシャルを秘めてる人がいると思うよ。

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―今回の応募者の中で特に気になったり印象に残っているラッパーは?

Kダブ:う~ん……選んだ中にも皆が選んでるのもいるから、カブってるのもいたんだよね。

―例えばkiki(15歳・大阪)はKダブさんとANARCHYさんが投票していましたが、大きい層に受けそうというか、伸びしろを感じましたか?

Kダブ:親父に虐待されて云々っていうラインとか、あとは見た目もある。女の子だし、シュッとしてるからね。でも、みんな合格ラインは超えててポテンシャルは感じたけど、「コイツ今すぐスターになるだろう」っていうのは、まだ見つけてない。

―審査員の方々のコメントがかなり面白かったです。皆さんアツく審査されてましたよね。 

Kダブ: SEEDAがけっこう空気読まなくて面白かったよね(笑)

―審査員たちのやりとりをもっとフィーチャーしてほしかったですね(笑)

Kダブ:そこは若林ちゃん(オードリー)がいるから。でもあの人ツッコミだからさ、誰かがボケないとあんまりいじってもくれないから(笑)

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■本気になればヤバいバースの1つくらいは誰でも書けると思う

―オーディションで選ばれたラッパーを今後、Kダブさんが鍛えていくとかっていう流れは……?

Kダブ:そういうわけじゃないと思うよ。その方が俺はやりたいけどね(笑)。5人ぐらい鍛えてくような企画のほうがいいんだけど。俺が育成してシングル出すとかね。

―それはぜひ見てみたいですね!ではラッパーとして成り上がるのは、どんな人間が向いてるんでしょうか?

Kダブ:生い立ちとか自己紹介がテーマだけど、もうちょっとライトな方面も見てみたいよよね。生まれや育ちまで語らなくても、どこに住んでて何が得意で・・・っていうくらいでも自己紹介だし。あと、それこそラッパーとして大切だと思うのは、自己紹介するときに自分の名前とかをリリックに入れるとか、スペルで言ってみるとか・・・。

―そういった遊び心的な部分も必要でしょうか?

Kダブ:そうそう、ストリートを感じさせる言葉とかは自己紹介に入れて欲しいけど、意外と自分の心情を赤裸々に語って誰かに聴かせるっていうよりも、「俺の心の叫びはこれだ!」っていう感じが多かったから。それはラップの曲としてアリはアリだけど、そんな曲ばっかり出して、アルバム1枚それじゃ困るでしょ? だからもっと“幅広さ”とかも審査できるような、そういう種目も入れて欲しいなって思うけどね。

―自分にまつわるものはもちろん、その先のことなんかもリリックに込めたほうが良いと?

Kダブ:やっぱり最終的には背負ってるものが大きいヤツを選ぶと思うんだけどね。審査のポイントとして、そういうところも見てる。

でも、それに適うヤツがいるかっていうと、まあ・・・まだ、なかなかね。

俺は1人ずつ落としていったりするほうが面白いかなと思うんだけどね。あと、今回はトラックとこのテーマに縛られそうな気がしていて。例えば、身の回りの事について16小節書いてみな、とかっていうのもアリだよね。それをもとに、どれだけ話を広げられるか?とか。

―それは確かにボキャブラリーが試されますね

Kダブ:想像力もね。あとは会話でのウィットとかを持ってるか? っていうのもラッパーとして大事。曲を作るときにどうしても使うところだから。

俺の個人的な考えだけど、みんな生きてる限りそれなりの人生歩んでるんだから、ヤバいバースの1つくらいは誰でも書けると思うのね、本気になれば。それが2つ3つあれば1曲になるし、それが10~15でアルバムになるし、それが続けばキャリアになっていくわけだから。

1個だけ書けてもしょうがないじゃん? だからそのポイントだけで審査するのは……ちょっと俺は間違いじゃないかと思う(笑)。誰だって“渾身の1バース”くらいは書けると思うよ。

―もしKダブさんが応募する側と同じ立場だったら、賞金300万はどう使いますか?

Kダブ:今だったら作品の製作費になると思うんだけどね。例えばまだ自分が若手だったら……引っ越して時計買って、チェーン買うね(笑)。そりゃ、そうだよ~。ICE-Tとかも最初の金は8割ジュエリーになったらしいよ。

―(笑)。テレビ的に追って面白い賞金の使い道だったらいいですけど、あまりに切羽詰まったリアルな使い方だと……。

Kダブ:それはそれでAbemaTVっぽくていいんじゃない?(笑)。親の借金返して家の雨漏り直したとかさ。それは、それでいいじゃない。

ただ「(優勝した後に)スターになってるか?」っていうところはね。何をもってスターとするかってうのは人それぞれだけど、ブレイクすればそれでスターなのか、みんなの心のアイドルとして何年もやり続けることがスターなのか……。

―優勝者とKダブさんのコラボとかはあり得ますか?

Kダブ:それも甘やかしでしょ(笑)。優勝しても、まだ“特待生”って感じじゃん。そこから“養成”していかなきゃ、多分スターにはなれないから。

―この番組はスターとしての道をサポートするというよりは、あくまで“きっかけを与える”ということなんでしょうか?

Kダブ:だから“誕生”ってうか・・・“受精”くらいだよね(笑)

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