UFCへの源流の一つともいえる格闘イベント「PRIDE」の名勝負を連日放送しているAbemaTV。9月5日は、2005年のPRIDE後期の最も大きな大会の一つである「PRIDE 男祭り 2005 頂-ITADAKI-」を放送する。この大会「大晦日は格闘技」を地でいく実に華やかな大会だった。
「RIZIN」で未だに存在感を発揮しているクレイジー・ホース・ベネットと俳優、金子賢の勝負という今考えても規格外のオープニングマッチに、エメリヤーエンコ・ヒョードルが「悲しみの肉弾魔人」ことズールを26秒瞬殺、五味隆典と桜井"マッハ"速人のライト級トーナメント決勝、桜庭和志と現・ミノワマンこと美濃輪育久のワンマッチ、 マーク・ハントとミルコ・クロコップ 、ヴァンダレイ・シウバとヒカルド・アローナと共にキャリア的に脂の乗り切った外国人選手の豪華カードが組まれた。
そんな中、凄惨な内容として記憶に残るのがメインイベント、吉田秀彦vs小川直也だろう。明治大学柔道部出身の先輩後輩の関係、柔道から総合格闘技に行き着いた2人。階級は違うもののバルセロナ五輪で銀メタルの小川、金メダルの吉田と共通点や同じ時を過ごした時期も決して短くない、そんな2人に当時は確執なども取り沙汰され「遺恨試合」とも喧伝され、会見では両者の今で言うところのトラッシュトークも炸裂したが、そこは格闘イベントならではの演出も部分が多かった。
とはいえ共に柔道家として一時代を築いた第一人者同士が、MMAのリングで戦うという時代もさることながら、かなりセンセーショナルな組み合わせ。しかもゴング開始直後から両者のパンチでの打撃戦という最も似つかわしくない展開で幕を開けた。パンチ、ヒザと主導権を握ろうとする吉田が組合い、ここでやっと柔道をルーツに持つ選手同士の対戦らしい展開に、小川も上回る体格を活かし吉田をコーナーに追い詰めヒザで応戦する。
試合のターニングポイントは、吉田がテイクダウンを成功させた直後の足関節のシーンだ、いわゆるアキレス腱固めを吉田が決め、小川が逆転し上になりパウンドという場面だが、この時点で小川の足首はポキリという音を立て折れていたという。
その後も上になって攻撃を加える小川だが、踏ん張りが効かずに体を入れ替えられ、吉田の上からのパウンド、叩き落とすような足裏と決定的な攻撃を凌いだ小川が再び上になってパウンドで応戦するという、足の感覚が全くないファイターとは思えない反撃を見せている。
その後、吉田が腕をとり逆十字で一本をとりこの同門対決はあっけなく終焉を迎えるが、その後もハッスルポーズやマイクアピールはきっちりやっていたあたりは、さすがとしか言いようがない。
(C)Zuffa