水中探検家に聞く「沖縄の海の神秘」　サンゴの死滅、辺野古埋め立てに危惧も

　「地球って言いますけど、70％が海ですから、"水"球です。でも、海の中に入れる人間って0.01％もいない。ドリームじゃないですか。同じ場所に何度も潜っても、同じ景色は一度もない。それが海の神秘」。

　世界の海を知りつくす水中探検家・広部俊明さん。移住して以来20年以上にわたって拠点にしている沖縄を中心に、これまで15000本以上の水中ダイビング経験を持つ。

AbemaTV『AbemaPrime』では、そんな広部さんに、沖縄の海の今について話を聞いた。

　広部さんが発見したことから名前が付いた海底鍾乳洞「ヒロベガマ」。沖縄本土中央部にある北谷（ちゃたん）遺跡の一部ではないかとして議論が続いている。

　広部さんは「大きい石と小さい石が重なり合って、その間に遺体を入れる"ドルメン"というお墓がこの周りに何カ所かある。だからこれは海に沈んだ墓地の遺跡なんじゃないか。石灰岩は自然に切れたりはしないので、多分人工的に削られている。周りには家を建てたんじゃないかという土台のようなかたちに切れている部分もある」と話す。

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　与那国島にも海底遺跡と呼ばれる場所がある。広部さんは「ここの地質だと、自然にこういう地形ができやすい。けれど綺麗すぎるし、お城みたい。僕的には入った瞬間遺跡だと思った。周りも道みたいのができていて、確実に杭で広げたような場所もある。確実に人工的なところがある」と断言する。

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■サンゴの死滅、普天間基地の辺野古移転を憂慮

　続いて話題は恩納村のサンゴの白化現象に移った。白化現象とは、サンゴの中に共生する褐虫藻が、海水温上昇などにより抜け出すことで、サンゴが白くなってしまう現象だ。死んでいる状態ではないが、長引くと死滅してしまうという。

　去年10月、「98年に白化現象が起きて何も無くなってしまった。３年前くらいからようやく復活してきたので嬉しく思っていたら、また白くなってしまった」と話していた広部さん。「今年の５月、助かったサンゴが見事に産卵をしてくれた。海面がピンクになるほど卵の量が多かった。しかし台風が来ないことの影響で、この１週間でまた白化現象が始まってしまった」。

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　世界の海底でサンゴ礁が覆っているのは、たった0.2％。しかし、海洋生物の実に25％が何らかの形でサンゴに依存して生きているといい、サンゴの死滅は経済的にも影響すると指摘するのは、経済評論家の川口一晃氏。「サンゴ礁に関連する経済効果は、世界でだいたい３兆3000億円。日本は約3000億円で、そのうち2500億円前後が、観光に関連するもの」と話す。

　石垣島と西表島の間に広がるサンゴ礁「石西珊瑚」は、一度はほぼ全滅してしまった。しかし電気を通してサンゴが付きやすくする工夫をするなど、色々な人がサンゴ復活のために努力を続けているという。

　「沖縄の県魚、グルクン（和名はタカサゴ）が居酒屋で人気になったので、捕獲されて少なくなってしまった。国に動いて、観光での釣りなどを制限してもらいたい」（広部さん）。

　広部さんは、米軍普天間基地の辺野古移転についても言及した。

　広部さんは「辺野古の東側の大浦湾はすごく自然が豊か。浅いところもあって、ジュゴンが餌にしている海藻があったり。さらに下は泥池なので珍しい生物がいたりする」として、「実際に入って海の大切さを知ってください」と話す。