20日、都議会の定例会が開会した。都民ファーストの会と公明党が共同提出する“子どもを受動喫煙から守る条例案”が、大きな争点のひとつになるとみられている。

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 2020年の東京オリンピックに向けて、公共施設や飲食店での全面喫煙の議論が進むなか、この条例案では学校周辺や公園などでも「18歳未満の子どもの受動喫煙防止に務めなければならない」としている。さらに、子どもがいる場合には家の中や自動車内でもタバコを吸わないよう求めている。

 先週15日、受動喫煙などを考える会合には、都民ファーストの会の岡本光樹都議が出席していた。受動喫煙の被害相談を受ける弁護士として活動し、条例案作りに関わってきた岡本都議は条例の必要性を訴える。「子どもに関しては、健康被害が非常に大きい、必要性が高い。自分の意思では受動喫煙が避けられない。にもかかわらず、そうした法的な整備というものがこれまで全然議論されてこなかったので。児童虐待に近いものなんだという発想に立てば、むしろ積極的に方や行政が関わっていくべき」。

 昨年、厚生労働省の研究班は、受動喫煙が原因で死亡する人が年間約1万5000人にのぼり、乳幼児などがなくなるケースもあると公表している。今回の条例案では、罰則はなく“努力義務”としているが、将来的には罰則を検討する可能性があるということだ。

 一方で、家庭内というプライベートな空間に行政が踏み込むことを疑問視する声もある。

 作家や作曲家など、愛煙家の文化人らが参加する喫煙文化研究会は、条例案の提出に先立ち反対声明を発表した。山森貴司事務局長は「子どもを受動喫煙から守るといった観点では全く反対する意思はありません。ただ今回、私たちが率直に思っているのは、努力義務とはいえプライベートに入ってくるという条例ですね。それはいかがなものかと思いまして」と主張する。

 さらに、山森氏は今後罰則が盛り込まれた場合に“監視社会”につながる恐れがあると指摘する。「例えば、隣の誰々さんがタバコを吸ってますよと通報したり、車で吸っている時に『あいつ吸っているぞ』と、『カーナンバーはいくつだ』というような“通報社会”になってしまう恐れが大きい」と懸念点をあげた。

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 喫煙者からは、規制が厳しくなる一方で喫煙所の数は少なく、吸う場所がないという声もあがる。さらにこの条例が成立した場合、家の中でタバコを吸いづらくなり、ベランダなどで喫煙するいわゆる“ホタル族”が増えるのではないかという指摘もある。実際に、条例案策定に向けて都民から寄せられた意見の中にも懸念の声が多くあったという。

 『けやきヒル’sNEWS』(AbemaTV)では、ハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏が「プライベートに行政機関が入るのはやり過ぎ」と見解を述べた。非喫煙者の竹下氏だが、「家の中まで規制するのは相当やりすぎだと思う。違法なものではなく嗜好品、趣味の世界なので、家庭内まで取り締まるのはもう少し検証が必要。家庭内で吸ったらどれくらい子どもに影響があるのか、空気清浄機を使ったらどれだけ軽減されるのか、最近は電子タバコも出てきたのでそれを使って吸うのは大丈夫なのか、といった細かい検証をしないと、一気に“タバコ=悪”になってしまう。タバコを嫌いな立場でもおかしいと思う」と意見を述べた。

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 また、“禁煙”における一方的な論争に対し、「禁煙ファシズムという言葉があまりにも正義になりすぎていて、議論の仕方として上手じゃないなと。世の中色々な対立事項があるが、一方を悪と断罪した瞬間に少数の意見が封じ込められてしまうので、またそのパターンかなと思えてしまう」と疑問を呈した。

(AbemaTV/『けやきヒル’sNEWS』より)

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けやきヒル’sNEWS キャスター:柴田阿弥 | AbemaTV(アベマTV)
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