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 都政改革を掲げて都知事選で圧勝、去年8月に東京都知事に就任した小池百合子氏。防衛大臣に自民党三役、都知事と数々の女性初の座を射止めてきた彼女は、"政界のジャンヌ・ダルク"と称され、多くの都民の期待を集めた。

 それからおよそ1年。小池氏は新党「希望の党」を結成、都知事と国政政党の代表という"二足のわらじ"を履いて進むことは両立可能だと明言、「総理だって総裁と総理を兼ねてやっていらっしゃるので、なんら問題はない」としている。しかし、都議会では「小池さん、都政に集中しなさいよ」との追及を受けるなど、都政への影響を懸念する意見もある。

■「半分以上の報道が嘘だった」

 そんな小池都知事が都政に転身するきっかけを作ったのが、公用車の私的利用や政治資金での家族旅行など数々の公私混同疑惑が浮上、去年6月に都知事を辞任した舛添要一氏だ。

 舛添氏は2日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演、「都知事の仕事というのは、実は地道なもの。都営バスや都営地下鉄、上下水道のように、滞りなく静かに全部の局の仕事をやっていくのが大事。人目に付く豊洲やオリンピックのような仕事を中心に、アドバルーンを上げるような政治には賛成しない」と話す。

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 また、都知事時代のある一日のスケジュールを示し「小池さんが希望の党の代表の仕事をしている時は、公務が全部ストップしている。真面目に両方やろうと思ったら、二足のわらじは無理だ。石原氏のように登庁しなくなれば、都庁の官僚機構がだめになってしまう」と指摘、「地道に全部やったら体がいくつあっても足りない。その時々で政治問題があればそこに集中してしまうので、やはり職員を頼らざるを得ない。その職員が秘密主義であればやっぱり困る」とした。

 元都庁職員で、行政学が専門の佐々木信夫・中央大学教授も「世界で一番忙しいのは東京都知事とも言われている。舛添さんも『美術館に行っているのではないか』と報道があったが、細かなスケジュールまで誰も見ていない」と話す。

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 "美術館報道"を振り返って舛添氏は「外国の美術館と東京にある美術館と連携させるための仕事だった。やはり美術は現物を見なければわからない。移動の際に30分余裕があったので立ち寄ったまでで、これほど有効な時間の使い方はない。趣味で行っていたわけではない。それなのに、"美術館に行って遊んでばっかり"と報じられた」と述べた。

 「私に言わせると、半分以上の報道が嘘だった。嘘だと言っても聞いてもらえない。時代の雰囲気もあると思った。ヤフオクで買ったのも少しでも安くという理由だった。統計を取ってみると、テレビの50%以上を舛添要一がジャックしていたらしい。これは異常」。

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 社会学者の古市憲寿氏も「僕も擁護までいかなくても、"こんな細かいことで都知事を変えていたら、お金がかかる"という正論を言っただけなのに叩かれた。空気に抗うのは難しい」と話す。その上で「SNSだとか、本当に国民がダイレクトに意見を発信できる場が整ってしまった結果、民主主義的なものが徹底されすぎてしまって、空気がどんどん変わりやすくなったのかなと思う」とコメントした。

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■「小池都政で膨大なお金と時間のロスが出た」

 小池都知事の仕事について舛添氏は「目立つ所、マスコミ受けする所をやったが、結局オリンピック施設の問題も私がやっていた頃の話に戻っちゃったし、築地の跡地や環状二号線の問題も起きている。時間とお金のものすごいロスだった」と話す。

 小池氏は都知事就任にあたり『東京大改革宣言』として、「都政の透明化」「五輪関連予算・運営の適正化」「行財政改革の推進」「都知事報酬の削減」「特区制度の徹底活用」の5項目を挙げていた。これについても舛添氏は、これらについても矛盾が生じたり、結果が出ていないと指摘、「庶民ウケするポピュリズム政治は良くない。政治は結果責任。結果が出ないとダメだ」と批判した。

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 一方、佐々木氏は小池都政で評価できるポイントとして、「知事が参加する会談や会議をフルオープンにし、黒塗り文書の開示を行うなど都政の透明化を図ったこと」「豊洲移転に伴う盛り土問題などを明るみにしたこと」「五輪問題では会場の見直しで約400億円を削減したこと」「ボランティア衣装の見直しを行ったこと」などを挙げ、「舛添さんの気持ちはよく分かるが、意思決定過程をオープンにしているかどうかについては次第に疑問符が付いてきているが、過去のブラックボックスを開いて見せたという意味では評価につながる」と話す。

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 これに対し、舛添氏は「400億円というのは私がプールしたおカネを持ってきただけ。私は五輪の見直しで2000億円削減した。衣装についても、新しいものを作るのに8000万円余分にかかっている」と反論した。

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■「舛添氏は60点、小池氏は50点」

  「45歳より若い都職員は、ぬるま湯で仕事をしてきた。私はせっかちだし、20年間もぬるま湯に使ってた職員は"仕事しろ"と言われて嫌だったと思う。朝来たらいる、夜も遅くまでいる。後ろから刺してやろうと思うのはあたりまえじゃないか」。

 舛添氏はそう話すが、都知事1年目の仕事ぶりを都知事が評価した調査によると、小池都知事が46.6点、舛添前知事は63.6点、石原元知事は71.1点だ。佐々木氏は「舛添さんは職員には嫌われてない。ただ、問題が出た時の説明をいくら言っても聞いてもらえなかったのが残念なところだろう。舛添都政が続いていれば順調に豊洲も移転して、オリンピックの準備も進んでいただろうし、職員としてはその方が良かったというのが内部の評価だろう。"舛添さんは話をよく聞いてくれる。指示が的確に早く出てくる"と職員が言っていた。これは部下が仕事をしやすい社長」と話す。

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 その上で佐々木氏は舛添都政には60点(政治とカネの問題で-20点)、小池都政には50点という点数をつけた。「カネの問題で説明しきれなかった部分がなければ、舛添都政は80点。小池都政は、実際には大した仕事はしていない。舛添問題が全国で報じられた恩恵を小池さんが受けていると思う。見える化を図ることに関してはよくやっていると思うが、政局あって政策なし。政策は完全に停滞している。問題提起は良いが問題解決はできていないという部分は、及第点の60点まではいかない」と厳しい評価を下していた。

  一方、佐々木氏は「特に石原都知事の頃から、物言わぬ職員風土ができてしまった。小池さんも非常に強圧的。特別顧問のごく一部とだけで決めて、職員とはほぼ対話していないのではないか。内部告発制度も作っているので、言わない方が得だという風になっているのでは」と推測。舛添氏も国立競技場の問題、豊洲の問題を挙げ、「建築家や職員たちが"こうした方がいいと思ったからこうしました"と言わなかった。みんな"言うと叩かれるから"として言わない」と指摘。「やっぱり都庁・官僚機構を変えないとだめ。小池都知事がそのきっかけになったのは、いいことだ」とも述べた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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