お笑いコンビ・ロンドンブーツ1号2号の田村淳が、来年2月に有名私立大学・青山学院大学を受験すると発表。その受験までの様子が、AbemaTV(アベマTV)の『偏差値32の田村淳が100日で青学一直線~学歴リベンジ~』(毎週土曜22時~)で放送されている。28日に放送される第3回には、田村の受験勉強をサポートする1人として“ビリギャル”小林さやかさんが登場。小林さんは、映画化もされたノンフィクション小説『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴著)のモデルとなった女性。全国模試で偏差値30以下のギャルだったにもかかわらず、1年半で難関・慶應義塾大学の現役合格を勝ち取った過去を持つ。
高校2年生の段階で“小学4年生程度”の学力だった小林さんは、わずかな期間でどうやって奇跡を起こしたのか。そして、その経験をどのように田村に伝えるのか。小林さんの取り入れた受験勉強法、心構え、田村がモチベーションを保つにはどうしたらいいのかなど、当時を振り返りながら語ってもらった。
「人間は人より苦手なものを好きになれない」勉強を好きになるためには…
ーー小林さんは高校2年生から受験勉強を開始されたそうですが、その当時の状況を教えてください。
小林さやか(以下、小林):私が慶應を目指そうと思ったのは、高校2年生の夏、学習塾で恩師・坪田信貴先生に出会ったことがきっかけでした。でも私、中学受験で大学までエスカレーター式の学校に入ったので、中学から1日も勉強したことなくて(笑)。坪田先生からはまず、小学4年生のドリルを渡されました。つまりその程度の学力だったんです
ーーしかしそこからの約1年半で、見事、慶應の合格を勝ち取るほどに学力をアップさせました。学力のないところから短期間で合格を目指す点が淳さんと共通していますが、そういった場合、まずはどこから勉強を始めたらいいと思いますか?
小林:私は最近、全国で講演活動を行っているんですが、勉強ができない子の共通点として、「勉強する楽しみがわからない」というのがあります。私もそうでした。人間って自分が苦手なこと、人よりできないことを嫌いになってしまいます。勉強を好きになるには、できるようになるしかないんです。それにはどうすればいいかというと、階段と同じで、一歩一歩基礎から固めていくしかない。それを繰り返しながら、「もしかしたらできるかもしれない」という小さな成功体験を積み重ねるのが大切です。淳さんもそういった体験が必要だと思います。難しいことからやるのではなく、6割くらい正解できるところからやる。「小さな成功」を積み重ねるとモチベーションを維持できて、それがやがて「大きな成功=合格」に結び付くはずです。
ーーやはり、コツコツと基礎を積み重ねることが大切なんですね。淳さんでも実践可能な、お薦めの勉強法があれば具体的に教えてください。
小林:まずは青学の赤本(過去数年間の入試問題を収録した本)を買うことです。「傾向と対策」という項目を見て、残された時間を逆算しながら具体的な計画を立てること。「相手を知って戦いに挑め」です。
ーー青学は文系の場合、英語、国語、社会の3科目が受験科目です。中でも、英語を重要視している傾向ですが、英語についてはいかがでしょうか。
小林:英文法って、実はそんなに覚えることはないんですよね。基礎からやってもそんなに時間はかからないはず。あとはSVOCM(主語、述語動詞、目的語、補語、修飾語)を一瞬で見分けられる癖を付けると、すごく強いと思います。これはもう慣れですね。
そして、英単語をたくさん覚えること。私は1日30個以上覚えていました。これは坪田先生流なんですが、電子辞書ではなく紙の辞書を使って、単語を調べる度に毎回違う印を付けていました。調べる度に、その単語の他の意味や使い方も一緒に覚えるように全部に線を引くんです。何回も調べたものほど印が多くなりますよね。すると、それが頻出単語である上に、自分がいつまでも覚えられていないっていうことが分かってきます。そういう単語は紙に書いて部屋や家のトイレの壁に貼っていました。何度も目に入ってくると、無意識のうちに意識に刷り込まれていくんです。そして、あるとき「こんな単語もわからなかったんだ」と思えるようになる。そうなると覚えたことになるので、別の新しい単語に貼り替えていました。
ーーそれは淳さんでも取り入れやすそうですね。ちなみに小林さんの場合、どのくらいの時間を受験勉強に費やしていたのでしょうか?
小林:坪田先生に出会ってからは、平日、休日に関わらず、1日15時間勉強していました。ただ、最初から「15時間やるぞ」って思っていたわけじゃなくて、後から振り返ったら15時間勉強していたという感じです。
時間確保の方法ですが……塾と家で一睡もせずに、学校で寝ていました(笑)。というのも、最初は学力がなさすぎて、最初は学校の授業の内容がわからなかったんですよね。だんだん学力が追いついてきて、学校の授業を越したんですけれど。
淳さんはお仕事をされているから、どのように時間を確保するかが気になります。私のように、小学4年生のドリルからやり直す必要はさすがにないと思うんですけど(笑)。
「入学してから広がる世界を想像」大学へのワクワク感がモチベーションに
ーー1日15時間も勉強するのは並大抵のことではないはず。小林さんをそんな風に突き動かしたものは何でしょうか?
小林:私、金髪でおへそ出して歩いていたので、学校の先生だけじゃなくて、すれ違う大人たちも顔をしかめるのが普通でした。でも坪田先生は、私を肯定してくれたんです。初めて会った時、どうでもいい話を2時間しました。先生はゲラゲラ笑いながら「君、面白いね!」と言ってくれて、それがすごく新鮮でした。
坪田先生は最初「東大はどう?」って聞いてきたんです。けど私は「イケメンがいなさそう」って返しちゃって。そしたらその後、「慶応はどう?慶応ボーイって知ってる?」と聞いてきて。当時、嵐の櫻井翔くんが慶応に通っていたから、「慶応だったら行ってやってもいい!」って思ったんです(笑)。櫻井翔くんがいる場所は、どんなにキラキラしているんだろう……漠然と憧れました。ワクワクしました。2時間の面接で、坪田先生は「この子は、慶応なら響くんじゃないか」って見抜いたんです。
ーーそれまで全く勉強していない生活から、急に勉強モードに切り替えることになって、しかも私立最難関の慶応義塾大学へと目標を定めたことで生活は激変したのでは。現在、淳さんも生活リズムを大きく変えて受験勉強に取り組んでいますが、小林さんは、ストレスを感じなかったのでしょうか。モチベーションはどのように保ちましたか?
小林:当時の私は、周りの大人と言えば学校の先生と親くらいしか知らないし、その中で面白そうに生きている大人が1人もいなかった。坪田先生はその点、知識も豊富で、いろんな社会経験があって、話し方がすごく上手かったから、「この先生と毎日話したい」って思ったし、初めて「こういう大人になりたい」と思いました。
受験!というよりも新しい世界に入れるかもしれないというワクワク感が強かったんです。「慶応ってどんなところなんだろう」というワクワク感も、大きなモチベーションになったんです。それが私の中の「やる気スイッチ」。そうなると、勉強をストレスと感じないんです。どっちかというと楽しみな気持ちになりました。大学への憧れや、入学してから広がる世界を想像することが、受験勉強をストレスと感じないポイントだと思います。
テキスト: 淺野真紀
写真:岡田誠