与党、野党、第三極の三つ巴の状況の中、野党共闘路線を引き継ぎ、枝野幸男氏が率いる立憲民主党との連携を模索している日本共産党。今回が初めての衆議院選挙となる18、19歳のスマホ世代にとって、日本共産党は"よくわからない"政党のようだ。渋谷の街で話を聞いてみると、
「今の日本は民主主義で、慣れ親しんでいる感じ。もし共産党になった時、社会が色々変わるのでは。大変になるのかなと思う。どう大変になるのか、具体的には分からないが」(18歳男性、会社員)
「今まで高校の歴史で勉強してきた中では、名前だけで聞いたらよくないイメージかなという印象だ。共産主義がよくないという訳ではないが、ソ連時代の話を聞いているとよくないのかなと」(19歳男性、学生)
と、どちらかと言えばネガティブなイメージを口にする若者が多く、一番多かった答えは「あまりよく分からない」というものだった。
日本共産党は1922年、ロシア革命後にレーニンが作った国際組織「コミンテルン」の日本支部として誕生した。自由と人権を訴え続け、天皇制に反対し弾圧に遭い、地下に潜伏していた時期もある。第二次世界大戦後には合法な政党となり、昭和20年代後半には武装闘争も辞さない姿勢で警察とも衝突していた時代もあったが、宮本顕治書記長による長期体制のもと、国会で議席を増やしていった。1955年に導入された政党助成金に反対、今も交付金の受け取りを拒否している。現在は党員32万人、国政・地方議員2700人以上で構成されている。
■「資本主義を乗り越えた経済のあり方を目指す」
AbemaTV『AbemaPrime』に出演した共産党副委員長の田村智子・参議院議員は「民主主義対共産主義という構図で描かれることが多いが、そうではなく経済で考えてみるべき。資本主義の世の中では、誰かや何かを犠牲にして経済成長するのが当たり前という社会になっているということ。ワーキングプアやブラック企業、あるいは原発の問題もそう。そういうことではなくて、未然に犠牲を防ぎながら経済を成長させていく理性と知性を人類は持っているはずだと。民主主義が全面的に開花して、資本主義を乗り越えた経済のあり方を共産主義と呼んでいる。日本共産党は将来、そうなるよう目指している」と話す。
また、かつての共産主義国家や社会主義国家のような、"一党独裁体制"というイメージがつきまとうことについては、「党大会の決議案を党員が読み、支部で議論、代表者を上げて地区大会、県大会、全国大会で政策・方針を決めていく。その上で、代議員が選挙で中央委員会のメンバーを選び、その中央委員会の中から委員長を決定している」と説明、党内民主主義が機能しているとした。また、「不破哲三・前委員長は、中国共産党に対して"国民が本当に中国共産党を支持しているのかが問われなければならない。それに自信があるならば、複数政党制を採ることを考えなければならない"と問題提起した。社会主義、共産主義は決して一党独裁の理論ではない」と説明した。
スタジオからは、党名を変えリブランディングすることで、より幅広い支持を集めることも可能になるのではないかとの質問が出たが、田村議員は「もちろん今の時代に即して未来社会を展望するよう努力はしているが、目指す経済のあり方としての共産主義・社会主義を諦めた、路線を変えたというメッセージだと思われてしまう」とコメントした。
■自衛隊・天皇制は「国民の合意のもとでなくしていくという方向」
自衛隊の位置付けについて田村議員は「今の装備を見ても、明らかに米軍と一緒に軍事行動ができる部隊になっている。軍隊という性格を持っていると言わざるを得ず、憲法違反の存在だ。それが集団的自衛権を認めた安保法制で決定的になってしまった。自衛隊が今日まで誰も殺さず、戦闘によって死ぬこともなく平和的に活動できたのは、憲法9条の縛りがあったからこそ。法律上、安保法制でその一線を超えてしまった」と指摘。その上で「今回の選挙では、安保法制を作った以前に戻し、まず一歩を踏み出さなければ駄目だ」とした。
また、天皇制については「現行憲法を守るというのが私たちの立場なので、天皇制も認める。私たちが綱領で言っているのは、人間の平等を考えて、天皇制のあり方が議論になれば、国民の合意のもとでなくしていくという方向」と述べた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)