この記事の写真をみる(8枚)

 「小池知事の政治姿勢に、残念ながら私自身が疑念を持ってしまった」

 5日、小池都知事が率いる「都民ファーストの会」からの初めての離脱者となる音喜多駿都議、上田令子都議が会見を開いた。

 去年の都知事選、そして今年7月の都議選では小池代表の最側近として広告塔も務めた音喜多都議。しかし今日の会見では、「私自身が何よりも大事だと考え、訴えてきた情報公開という公約がはなはだ未達成な状況で国政進出へと手を貸すことを容認することはできません」「小池知事が代表として発足した希望の党には、まだ詳細な公約も発表されないうちから。右から左まで、思想も政策も理念も異なる政治家たちが200名近く集まっておられます。私にはどうしても選挙目当ての野合のようにしか思えません。今の東京都には豊洲市場の移転問題、オリ・パラ、様々な課題が山積しています。この状態で国政進出に手を伸ばすことがはたして正しいのでしょうか」と訴えた。

拡大する

 音喜多都議らの離党表明を受け、小池都知事は「とても残念に思いますけど、頑張ってくれるとおもいます」と短くコメントしている。

 同日夜のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した音喜多都議は、冒頭、「私に期待してしてくださった方々には、それに添うことができず、お詫び申し上げたい。申し訳ございませんでした」と頭を下げた音喜多都議。都民ファーストの会が公式Twitterで、2人を除く53人の写真をアップしたことについて「本当に寂しい。創設メンバーだし、誰よりも尽力してきた。信頼できる仲間なので、離れることは身を切られるような思いだ」と話した。

拡大する

 離党表明の理由について「大きく3つある」と、記者会見でも使ったフリップを用いて「まず、ガバナンスが不徹底。情報公開を公約で掲げたのに、たった3人の密室で新しい代表を決めてしまった。ブラックボックスの意思決定をしているのは、言行不一致だと感じることが多々あった。2つ目に、都民ファーストの会に残れば、選挙目当ての野合である希望の党の応援を無条件でしなければならない。それは政治家として許容できない」と説明、さらに「"二足のわらじ"が悪いことだとは思わないが、課題が山積みの状態の今、本当に国政に手をかけていいのか。都民ファーストの会の代表も"都知事に専念するから"という理由で辞めた。私も驚いたが、専念するならと自分を納得させたが、期間を置かずして国政政党の代表になるというのは受け止めきれなかった」とした。

拡大する

 今後については、「"小池劇場"のキャストから降りたくて辞めた。あえて言えば、小池知事に何もかもが自分の思い通りになると思わないで頂きたいという気持ちで飛び出した。無所属として正しいことは後押しするし、おかしいことはおかしいと言っていきたい」という。

■私の名前を信じて投票してくれた人のためにも、議員辞職はしない

 離党を意識したのは、都議選の直後からだという。

 「都議選で大勝、大きな組織になって体制が変わってから、おかしいぞと思うことが少しずつ出てきた。小池都知事は特別顧問になったのでどこまで影響力を及ぼしているかもわからないが、色々なことが話し合いを経ずに決まっていく。また、9月に代表が新たに変わったが、これも3人だけで決まってしまった。ここで決定的に何かがおかしいのではないかと、ここで離党という言葉がよぎった。ご批判を頂いているように、都議選からたった数ヶ月で辞めるとは何事かとも思ったので、なんとか踏みとどまって中から変えようと、意見を言ったり、役員会に申入書を提出したりしていたが、そこに国政選挙が来てしまった。都政をさしおいて国政選挙のお手伝いするぞと。これは順番がおかしいと思った。もうとどまっているわけにはいかないと思った」。

 その"申し入れ"を、小池都知事に直接行うわけにはいかなかったのだろうか。

 「都議選の前までは、直接やりとりし、いろいろ申し上げてきたが、役員会、部会長に話しをするようにと通達があり、残念ながら直接話す機会がなくなった。組織であり指揮命令系統が大事なので仕方ないと思う反面、議員活動の自由が阻害されていると感じた」。

 テレビ朝日政治部の細川隆三デスクからは「都知事の部屋に乗り込んでいくことだってできるわけだし、唐突感も感じる。小池さんに近いということで投票した人もいるはずだ。うまくいかないから離党するというのは納得がいかない部分もある。だったら離党ではなく、議席を返上してから主張した方が迫力、説得力はあったのではないか」という指摘もなされた。

拡大する

 音喜多都議は「私は小池都知事が来る前から議席を預かっていたし、小池チルドレンではないという自負も持っている。確かに、夏の都議選では、小池都知事に近いことや都民ファーストということで投票してくれた人もいるのは事実。しかし、中選挙区制で、党名ではなく名前で勝ち抜いてきたという自負もある。私の名前を信じて投票してくれた人のためにも、議席を返さずに、間違った方向に行くのを正していくのが責務だと考えている」と反論した。

■都民ファーストの"カネ"、"締め付け"の実態も

 音喜多都議の会見では、都民ファーストの会をめぐる"カネ"の問題も飛び出した。

 「都民ファーストの会の中では議員報酬の中から6万円、政務活動費から15万円を都民ファーストの会に収めるというルールになっていた。いずれも原資は税金だ。普通の政党では、選挙の時の公認料や軍資金として戻ってくるのが一般的。しがらみのない政治ということで、企業・団体からお金を集めないと言っている。選挙の時の写真撮影も、割り勘で支払ったということがあった。ただ、このお金がどこに使われたのか謎に包まれている。都民ファーストの会と希望の党は同じような人が作業チームでやっている部分もあると思う。その人件費を都民ファーストの会から出しましたとなれば、グレーゾーンだ」。

 また、本部が各都議に対する取材など厳しく統制するなど、密室性が高いとの指摘もあった。都議選から2週間後に放送されたAbemaTVの『みのもんたのよるバズ!』でも、音喜多都議が出演をドタキャンするという騒動があった。この時、音喜多都議はブログで「党本部にしっかりとした許可を取る前に出演を快諾してしまっていた(中略)これまでは比較的自由にメディア出演や取材対応をして参りましたが、今後は少し違った形となりそうです」と説明していた。

拡大する

 「都議への締め付けは極めて厳しいものがあった。それまで幹事長として自由に取材を受けて意見を述べていたが、体制が変更された都議選を境に突然禁止だということになり、新しい幹事長に"依頼が入っている取材も全て断りなさい、出るのであれば処分を考える"と言われた。代打を出してくれとも頼んだが、それも叶わず、キャンセルとなった」。

 「許可制になり、私に関していえば99%は断られていた。言論が規制されていた」という音喜多都議。ブログやTwitterなどを通じて情報発信を続けてきただけに、首脳からは警戒されていたのだろうか。

 「小池都知事には、イエスマンばかりは要らない、何でも言ってほしいと言われていたので、都議選の前までは都知事の考えとは違う意見もどんどんぶつけていた。しかし、本心ではそういうことを疎ましく思っていたのかもしれない」。

拡大する

 番組放送中、都内ホテルでは希望の党と都民ファーストによる政策協定の調印式が行われた。細川デスクによると、地域政党と国政政党という違いもあり、しかしオーナーは一緒という状況での政策協定は極めて異例だという。

 音喜多都議は「都民ファーストの会は小池都知事のイエスマン集団で独立性がないという批判を浴びてきたので、決してボスに言われたからじゃない、自らの意思で応援しているということを世間にアピールしたいのだろう。形式的なものだ」と指摘。一方、希望の党側の議員については「自分たちが地ならししてきたのに、小池さんが来て持っていった。細野さんや若狭さんの気持ちとしても忸怩たる思いがあるのではないか」と慮った。

■小池都知事へのメッセージは「都知事選の原点へ」

 かつてはブログで「都民が選ぶのは都民のための改革を行い前に進むしがらみのない知事です。小池百合子氏こそがこの知事の職責にふさわしい」(2016年7月12日、都知事選前)、「最初は「負け戦」と言われた状態をひっくり返し、この場で小池百合子新知事を迎え入れられたのは本当に喜ばしいこと(2016年8月2日、小池知事初登庁時)と綴っていた音喜多都議。

拡大する

 「少なくとも1期4年は勤め上げると思っているが、常人では想像できない行動をする人。衆院選出馬の可能性はまだ残っていると思う」とし、改めて今の心境を問われ、「ブログに書いたことは本心だし、小池都知事が掲げた政策・理念は今でも100%信じている。ただ、行動、状況がそれに付いてきてない。都知事選の時の原点を思い返して、都政に集中していただきたい」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


▶『AbemaPrime』は月~金、21時から放送中!

「AbemaPrime」の検索結果(放送予定の番組) | AbemaTV(アベマTV)
「AbemaPrime」の検索結果(放送予定の番組) | AbemaTV(アベマTV)
「検索」では気になる番組を検索することが出来ます。
【無料】AbemaPrime - Abemaビデオ | AbemaTV(アベマTV)
【無料】AbemaPrime - Abemaビデオ | AbemaTV(アベマTV)
見逃したAbemaPrimeを好きな時に何度でもお楽しみいただけます。今ならプレミアムプラン1ヶ月無料体験を実施しています。
AbemaNewsチャンネル | AbemaTV(アベマTV)
AbemaNewsチャンネル | AbemaTV(アベマTV)
AbemaTVのAbemaNewsチャンネルで現在放送中の番組が視聴できます。
この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(8枚)