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 「自民・公明」「希望・維新」、そして「立憲民主・共産・社民」に分裂した格好になっている衆院選。中でも日本維新の会は、希望の党同様、安倍政権に対抗する姿勢を示しつつも、個別の政策では自民党と協力できる認識も示している。9日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、同党の議員を招き、維新のスタンス、そして政策について話を聞いた。

 維新の松井代表が「お互いの本拠地でぶつかり合えば、他党を利するだけ」と発言した通り、今回の衆院選で維新は希望と選挙区の"すみ分け"を行っている。希望は大阪の小選挙区で(近畿比例区単独には5人)、維新は東京の小選挙区で(東京比例区単独には3人)と、互いの本拠地に対立候補を立てていない。

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 全国への党勢拡大という点では一見矛盾するように見える戦術だが、維新の広報局長の清水貴之・参議院議員は「消費税増税の凍結、身を切る改革、しがらみのない政治など、基本理念で希望の党と共通するところが多かった。全国政党と言いながら東京で候補を立てないことへの疑問があることはよくわかるが、松井代表の言う通り、まだ大きくない政党なので、なるべくエネルギーを集中していかないと戦うのが難しいという理由もある。実情を見ると、我々の候補者が40名と、過半数で政権をとれる候補者を立てていない。今回一生懸命頑張って全員が当選しても政権交代は維新単独ではできない」と説明する。

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 8月には「(自民離党から)何で1年も経たないうちに自民党でない受け皿を若狭さんが作るのか」と発言、当初は"小池新党"の動きにも批判的だった松井代表だが、小池都知事、大村愛知県知事と共に"三都物語"として連携。7日には東京・大阪・名古屋の首長が揃って街頭演説に臨んだ。ここで松井代表は「まともな野党がこの国には必要だ。小池さんと切磋琢磨して作っていきたい」と発言している。

 これについて清水議員は「与党が言うことに何でも反対するのが野党のイメージだが、我々は自民がやっていることでも良いと思えば一緒にやるし、駄目だと思えば反対してきた。まともな野党というのは、何でも反対ではなく、違うと思ったら対案を出して、ちゃんと議論し、政策を深めていくということ。日本のためになるのであれば、どこと組むかは排除しない」こととして、改めて自民党との連携も排除しない姿勢を示した。

 その一方、松井知事は「小池代表が(衆院選に)出馬すれば全てご破算だ」と釘を指してもいることには「政策や方向性は近いが、やり方など違うところがある。我々は大阪の地域政党からスタートしているので、地域のことを非常に大事にしている。小池さんが出てしまうと、豊洲やオリンピックなど都政を全て投げ出したという批判が出てくるだろう。我々も、2012年の橋下さんブームで躍進したが、その後、離党や分裂もあり、今は15人しか残っていない。希望の党にも同じようなことが可能性もあるので、そこは見ていかなければいけない」とした。

 8日の党首討論では、小池代表に対して選挙後の首班指名を誰にするのかというやり取りがあったが、知事が代表を務めているという点では維新も同じだ。維新の首班指名について清水議員は「まだそこまでは議論していない。共同代表という制度をとっているので、2014年の際は江田憲司さんの名前を書いた。今の共同代表は片山虎之助参議院議員だ。過去に参議院議員が総理になったことはないが、なってはいけないというわけではないので、片山さんを指名するのではないか」との見方を示した。

■「身を切る改革」で教育無償化の財源捻出へ

 9月30日に維新が発表した公約のトップは「消費税増税の凍結!身を切る改革で教育無償化」だ。「2017維新八策」として、議員報酬・議員定数3割カット、教育完全無償化、憲法9条改正、脱原発依存体制の構築などが並んでいる。消費税増税については、自民・公明が実施を主張し、野党は反対もしくは凍結の図式となっている。しかし、消費税増税凍結を訴える希望の党が打ち出したベーシックインカムについて安倍首相が切り込む場面もみられた。そして、憲法改正、特に第9条に自衛隊を明記することについては、自民と日本のこころが推進、希望と維新が議論を進める、立憲民主・社民・共産は反対の立場をそれぞれ示している。そして、党首討論では森友・加計問題について、希望の党・小池代表と共産党・志位委員長が立て続けに安倍総理を追及した。

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 維新の公約の目玉となっている消費税増税凍結と教育無償化について、清水議員は「教育の無償化は我々維新が最初に言い出したことだが、皆で一緒になってやればいいことなので、各党がどんどん連携してやったらいいと思う。ただ、財源については考えが違っている。安倍首相は消費税を8%から10%に上げたときの2%分を充てると言っている。我々は増税しなくても財源は作り出せると言っている。今後高齢化などで社会保障費がもっと増加していくことが目に見えている。まだまだ無駄が沢山ある。まず、議員給与削減など、身を切る改革。これも我々が元祖だと思っている。UR(都市再生機構)民営化もある。”足りなかったら皆から集めればいいや”、というのはどうか」と消費税増税だけに頼るのは危険だとの認識を示した。

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 これに対してジャーナリストの有本香氏は「維新は金融政策、マクロ経済政策についてはっきり方針を示していない。国は自治体とは異なり、削るという話だけでは成り立たない。国政政党として支持しにくいのはその点にあるのではないか。プライマリーバランスについてもどう考えているのかはっきりしない」とコメント。評論家の宇野常寛氏が「議員の給料なんてたかが知れている。もうはっきりと『高齢者の社会保障が限界なので削らせてください』と頭を下げるしかない。それが言えるのは維新だけではないか。自民党と違う所がどこなのか、はっきり経済政策で闘うべきだ。地域政党として、生活の言葉から積み上げてリアリティを目指すべきだ。有権者が見たいのは、"キャスティングボードを握ったら、第三の矢をこういう風に飛ばしてみたい"というビジョンだ」と厳しく指摘した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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