10月15日にマリンメッセ福岡で開催されるRIZINは、メインイベントにRENA、セミファイナルに那須川天心が登場するフレッシュな布陣となった。しかもこの2試合は、フジテレビの放送内で生中継されるという。2人がその人気、知名度をさらに上げるチャンスと言っていい。
▲世代は違うものの、すぐに意気投合した3人
昨年末にMMA初挑戦した那須川が今回、対戦するのは藤田大和だ。藤田はアマチュアボクシングの強豪として知られた選手で、高校時代にアマ三冠を達成。2011年に全日本選手権を制した時には、その翌年にオリンピックで銅メダルを獲得した清水聡にも勝っている。
兄弟ボクサーとしても注目されていた藤田だが、現在はMMAに転向、アマチュアで経験を積み、今回がプロデビュー戦だ。
那須川がキックボクサー、藤田がボクシング出身ということで、当然、期待されるのはパンチ勝負。お互いそこで負ける気はなさそうだ。ただ同時に、MMAルールだからこその展開の読み合いもポイント。蹴りやタックル、寝技と総合力の競い合いも興味深い。
▲所は那須川にイマナリロールを伝授
実際、この試合に向けての公開練習で、那須川は寝技の達人たちに教えを受けている。所英男と桜庭和志だ。所はガードポジションからの腕十字と、回転しながら足に絡みつき、ヒールホールドなどに移行する「イマナリロール」を指導。見よう見まねながらすぐに覚えてしまう那須川のセンスに舌を巻いていた。
福岡大会でフランク・シャムロックとのグラップリングマッチが控えている桜庭は、那須川にオリジナル技「ゆりかもめ」さらに相手を引きずって背中をマットに擦れさせ、熱で痛めつける「炎のコマ」を伝授した。桜庭の長男と那須川は同い年だというが、年齢には関係なく「格闘技の仲間という感覚」だという。世代は違えど、お互いプロ中のプロと認めているのだろう。
▲桜庭の「ゆりかもめ」に苦悶の表情
「キックでも発想を大事にしている」という那須川は、桜庭の独創的テクニックに興味深げ。さっそく「炎のコマ」からの展開をシミュレーションしているようだった。
ストライカー対決に向け、日本を代表するグラップラー2人と公開練習を行なったのは単なる偶然か、それとも試合を見据えてのことか。MMA2戦目で絞め技による一本勝ちを収めたこともある那須川だけに、華麗な寝技フィニッシュを狙っていてもおかしくはないし、そのことで選手としての幅を見せることもできるのではないか。“神童”の試合では、何が起きても不思議ではない。
文・橋本宗洋
この記事の画像一覧