また1人、RIZINで大型新人がデビューする。10月15日のマリンメッセ福岡大会、プロ初戦で那須川天心と激突する藤田大和だ。
藤田はアマチュアボクシングで全日本選手権優勝など数々の実績を残し、MMAの世界へ。練習をともにする才賀紀左衛門の推薦もあり、RIZINでのプロデビューが決まった。
いきなりのビッグイベント、それもセミファイナルでの那須川戦に「最高の相手、最高の舞台です」と燃える藤田。パンチに自信はあるものの、「MMAの打撃は距離も違いますし」と、ボクシングとまったく同じとは考えていないようだ。むしろキックボクサー・那須川とボクサー・藤田がMMAルールの中でどんな闘いを見せるのかが重要にってくる。
プロデビュー戦の藤田が“神童”那須川と対戦するのはミスマッチにも思えるが、那須川もMMAのキャリア自体はまだ浅い。那須川自身も「受けて立つという気持ちではないです」と語っている。
那須川にはキックのバックボーンがあるが、藤田もアマチュアボクシングの豊富な経験がある。アマチュアとはいえ、オリンピックを目指して闘ってきた経験は一流アスリートならでは。特に国際大会で外国人と試合をしたことは大きいようだ。トーナメント1回戦で当たる相手以外はすべてが未知。試合が始まってから、構えが右か左か分かるようなことも珍しくない。
「でかい相手小さい相手、ファイター、アウトボクサー、いろんな相手とやってきました。そこで対応力は磨かれましたね。アマチュアでもプロに優る部分はあるし、(プロもアマも)キャリアは一緒です」
RIZINデビューが決まると、ボクシング時代の仲間からも激励の声が届いた。「ボクシングなめられんなよ」いう仲間の思いに応えるのも、MMAでの藤田のモチベーションだ。
ここで勝てば一気にブレイク。年末大会も見えてくるが、藤田は「先のことは考えてないです」と言う。
「今回にすべてをかけるし、大晦日のことも考えてない。今回の試合で人生を変える。それだけです」
藤田の武器は、パンチだけではなさそうだ。
文・橋本宗洋