全試合メインイベント級の豪華カードで勝負をかけた修斗のビッグマッチ、10.15舞浜アンフィシアター大会で、とてつもない激闘が生まれた。
佐藤将光vs石橋佳大の世界バンタム級チャンピオン決定戦。両者は今年、環太平洋チャンピオンシップでも対戦しており、今回はリマッチだ。前回ドローでベルトを逃した佐藤は必勝を期しての一戦。石橋は修斗のチャンピオンとして7月のRIZINに参戦したものの敗れており、出直しがかかっている。
ロングレンジのパンチ、至近距離のヒジと強烈な打撃を武器にする佐藤に対し、石橋は“激闘王”。攻め込まれながらも絶対に反撃し、ピンチをひっくり返すファイトスタイルで勝ってきた。この世界戦でも、両者の持ち味が爆発したと言っていい。
佐藤がパンチで攻勢をかけ、ノックアウト寸前に追い込む場面もあるが、石橋のパンチもヒット。テイクダウンで一方的な展開を許さない。しかし佐藤は下からでもヒジを連打。これが苦しまぎれではなく、的確にダメージを与えているように見えた。
試合後半になると石橋は出血し、顔面が無残に腫れてしまう。ドクターチェックも入り、ストップ寸前に思われた。それでも最終ラウンドにテイクダウンに成功したのだから、凄まじいスタミナとメンタルと言うしかない。
修斗の世界戦は5ラウンド制。初体験の長丁場で激闘という泥沼に引きずり込まれた佐藤だが、それを乗り切って判定勝利を収めた。パンクラス、SRCなどでも活躍したがトップには立てず、修斗でも石橋との一戦目で勝てずに悔しさを味わった。苦労に苦労を重ねたからこその、感動的な戴冠だ。「応援してくれる人たちが残念がる顔はもう見たくなかった」という言葉にも実感がこもっている。
この大会のメインも世界戦。フライ級王者の扇久保博正がオニボウズと対戦し、1ラウンドでリアネイキッドチョークを極めて一本勝ちを収めた。
同階級のライバルを次々と倒してきたオニボウズ。しかし扇久保はUFCとの契約をかけたトーナメント・TUFに参加し、決勝進出を果たしている。オニボウズのタックルをディフェンスすると逆にテイクダウン。じわじわと攻めこみ、きっちりフィニッシュした扇久保。一度は世界最高峰の舞台に手をかけた実力を見せつけたと言っていいだろう。試合後には、UFC参戦をアピールしている。
またストロー級の世界王者決定戦では猿田洋祐が3度目のタイトルマッチでついにチャンピオンに。フェザー級の環太平洋タイトルマッチでも高橋遼伍が青井人を相手に防衛しており、トップクラスにおけるキャリアの重要性を感じさせる結果となった。