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 18日、世界中が注目する中、5年に一度の第19回中国共産党大会が開幕した。人民大会堂が拍手に包まれる中、習近平国家主席「大会のテーマは初心を忘れず使命を胸に刻み、中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲げることだ。中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現するため、たゆまぬ奮闘をすることだ」と語った。

  18日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、“チャイナセブン”という言葉の生みの親でもある、東京福祉大学国際交流センター長の遠藤誉氏に話を聞いた。

 共産党大会は中国における最高の意志決定機関で、約8900万人の党員から選ばれた約2300人の代表が参加、24日まで1週間にわたって行われる。

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 遠藤氏は「今後5年間の方針が全て党大会で決まっていく。中国は中国共産党による一党支配体制なので、政府である国務院の上に党がある。したがって国務院は、あくまでも党大会で決めたことを実行していく執行機関に過ぎない。実質的には"チャイナセブン"が内閣の役割なので、日本の外務大臣にあたる国務院外交部長も、実は身分はものすごく低い事務方の存在。外交部長の王毅さんの発言を"彼が言ったんだから"と大げさに捉えたら大間違い。彼は上の方から命令され、使いっ走りとして話をしているに過ぎない広報担当者みたいなもの」と説明する。

 また、遠藤氏が「2300人の代表者は、若者や農民工、地方の幹部など、広範な人民の中から選挙で8か月かけて優秀な人が選ばれているので、そういう意味では国民も親近感を抱いている」と話す通り、民族衣装を身にまとった人や、多くの女性の姿が映像でも確認できる。一方、党員になることで行動が制限されることから、あえて党員の道を選ばない国民もいるのだという。

 江沢民元主席、胡錦濤前主席らが見守る中、習近平国家主席は1期目の5年間を振り返り、「経済は急速な発展を続けており、世界主要国の中でもトップクラスだ。国内総生産は54兆から84兆に成長し、安定して世界第2位にいる」と述べた。さらに「2035年までに『社会主義の現代化』、建国100周年を迎える2049年に『社会主義現代化強国』を実現するという新たな目標を示した。3時間20分にも及んだこの演説のポイントはどこにあるのだろうか。

 遠藤氏は「1日目の報告は成果の強調だから、自画自賛ではある。中国が世界の舞台の中心になる新時代を迎えるというのが、主な中身だった。そして、ストレートな表現ではないが、特色ある社会主義国家がリーダーシップを発揮していて、色々な選択肢を発展途上国に与え、人類に貢献していると主張していた」と解説した。

 演説では「"聖域なき反腐敗"を例外なく堅持した。断固としてトラを打ち、ハエをたたき、トラを捕まえた。反腐敗闘争の圧倒的形勢はすでに実現され、発展を続けている」と強調した習主席。前の胡錦濤指導部で治安や司法部門のトップを務めた周永康氏を摘発するなど、元最高指導部のメンバーも対象に含む反腐敗撲滅運動を進めてきた。

 遠藤氏は「胡錦濤は"もし腐敗を撲滅しなければ党が滅び国が滅ぶ"という演説をしたが、結果としては指導部内は江沢民派が多数だったので、反腐敗を徹底できなかった。そこであらゆる権限を習近平に与えバトンタッチした」とし、側近の腐敗には目をつぶっているのではないかという疑惑については「絶対にない。すでに国内で汚職で200万人も逮捕している。そういうことを忖度しながらできるだろうか」と断言した。

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 1921年に第1回が開催されて以降、党大会の重要な役割とされているのが党の人事だ。閉幕の翌日に選出される党の最高指導部にあたる政治局常務委員7人="チャイナセブン"の新メンバーが決定する。

 遠藤氏は選出のプロセスについて「チャイナセブンが決めた候補を政治局委員の会議に諮り、最後に中央委員会の人たちに諮る。これを七中全会といい、14日に行われた。この過程では出来レースではいけないし、汚職をしている人物を選ぶわけにはいかないので、推薦や反対もできる。習主席自身、14日までは誰が候補になるのか分からなかった。そして、党大会閉幕後の25日に政治局委員と政治局常務委員、中央委員会による選挙によって、次期の"チャイナセブン"を誰にするかが決まる。ただ、これはリストに対してイエスかノーかというもの。誰が賛成したかもわかるので、99%はイエスと言う」と説明する。 

 新"チャイナセブン"の顔ぶれの変わることによる日本への影響について遠藤氏は「そんなに大きく変わるとは思っていない。ただ"反日"という軸については絶対に変えないだろう。そうしなければ一党支配体制が維持できない」との見方を示した。

 今回の党大会では、党の最高規則である党規約に建国の父・毛沢東氏などと並び、習主席の個人名が明記されるかも焦点だ。中国メディアによると、行動指針に習主席の「思想」が盛り込まれる見通しだという。

 演説を「中華民族の復興という偉大なる夢の実現、そして人民が理想の生活を送れるように引き続き奮闘しよう」と締めくくった習主席。2期目を迎え、自らの政治基盤を盤石にできるのだろうか。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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