初詣の定番スポットとしても知られる浅草の浅草寺は、国内外から年間3000万人が訪れる東京屈指の人気スポットだ。雷門から浅草寺までの参道250mに並ぶ仲見世商店街は日本最古の商店街とも言われ、88もの店が軒を連ねている。その浅草寺の玄関口で、ある騒動が起きていた。

「『来年1月からの家賃が16倍になる。月25万円になる』といきなり提示された。高額すぎて家賃が払えない店もあるだろう」と話すのは、ある仲見世商店街の関係者。これまでの家賃は安いところで約10坪で1万5000円だったが、掲示された金額は約16倍の25万円。そのため、「立ち退く店が出てしまい、代わりに大手のチェーン店が入ることで風景が変わってしまう」と仲見世側は主張している。
なぜ、このような事態になっているのか。事の経緯は約150年前に遡る。
仲見世の土地と建物を所有していた浅草寺は、明治4年に国策によってその土地と建物を国に没収される。その後、明治44年に国は浅草寺に土地を返却したが、建物は当時の東京府に管理され、仲見世の各店舗は東京府に家賃を支払ってきた。ところが今年7月、東京都が持つ仲見世の建物の所有権を浅草寺が買い戻したことから、「家賃値上げ」の方針が示されたという。浅草寺側は、6年前に東京都から土地の固定資産税を支払うよう求められたことが、建物を買い取るきっかけだったとしている。
では、なぜ家賃の値上げは“16倍”なのか? 浅草寺が主張しているのは「あまりにも近隣の家賃の相場とかけ離れているので、弁護士を通じて周りの相場を伝えただけです」というもの。観光地・浅草の家賃の相場を、仲見世商店街から約50mの場所にある伝統工芸品店に聞いてみると「仲見世以外の通りでは、大体(1坪)3~4万円くらいが相場なので、仲見世辺りだったら(家賃を)50~60万は払っても商売になるんじゃないかなと。羨ましい限りです」と話す。つまり、25万円は周辺の相場と比べても安い設定だといえる。

しかし、仲見世商店街の人々はいくら安い家賃でも、東京大空襲で建物が消失した際に費用を捻出して立て直したのは自分たちだという自負があり、16倍の値上げに対しては反発するとみられている。
浅草寺側は「仲見世の景観を維持していくことを大前提に、商店街と今後協議していきたい」としている。
はたして、家賃25万円は高いのか。『けやきヒルs’NEWS』(AbemaTV)に出演したハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏は「浅草寺側は気を遣っている」と見解を述べた。
この騒動について、不動産問題に詳しい坂尾陽弁護士に話を聞いたところ「25万円は周辺の相場から考えると決して高くない。浅草寺が主張する金額が認められる可能性が高い」との見解を示している。

竹下氏は「家賃は固定費としてずっと続くので、この際にお店をやめようという人は出てくると思う。あと商品の値段が上がる可能性がある」と賃上げ時の影響を指摘する一方で、「浅草寺側も気を遣っていると思う。40万円以上してもおかしくないところをきちんと弁護士を通じて通告して、コミュニケーションを取ろうとしている。確かに文化はあると思うが、この破格の家賃でずっと続けていくのも違うと思う」と話した。
また、チェーン店が入ってくるという懸念に関しては「嫌だと思うかもしれないが、必ずしも入ってくるとは限らない。ここで新しい時代に周辺の雰囲気に合ったデザインのカフェをオープンしたりだとか、外国人向けのお土産屋さんだとかイベントスペースとか、次の時代に行くいいきっかけになるかもしれない」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒル’sNEWS』より)



