11月5日、大阪府立体育会館で開催される新日本プロレス「wateRouge by home+ Presents POWER STRUGGLE」でNEVER無差別級選手権試合で矢野通との3度目の防衛戦を行う鈴木みのる。
これまでのNEVERを巡る戦いを振り返ると後藤洋央紀から鈴木軍総攻撃ともいえる介入で、ベルトを強奪してきた鈴木。その後の後藤とのランバージャックデスマッチでも、ある程度は予想されたもののルールの裏を狡猾について軍団を動員して防衛に成功した。
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの台頭、CHAOS、BULLET CLUBと見渡せばヒールユニットだらけとなった新日本プロレスのリングだが、鈴木は本人のブログで昨今のレスラーのヒール志願ともいえる風潮に強烈にクギを刺している。
「たまにこんな言葉を耳にする。 「ヒールになりたい」「ヒールやってみたい」 これが現役レスラーの口から聞かれたりする… オイオイ… 何言ってんの? 自分がプロのレスラーなハズなのに 言ってることがファンと同じになってる。 それじゃあ、自分が無いのと同じ。 」
さらに、
「ルールを違反するのがヒール?何言ってるの?タッグマッチで2人ががりでやるツープラトン攻撃…これ反則だろ?
場外で攻撃する…これも反則だろ?
ロープブレイクで手を離さない…反則だろ?
そう、プロレスはルールが曖昧。5カウント数えられなければ、その攻撃は黙認される。レフリーが全ての権限を持ち、勝敗を決める。レフリーが見ててもカウント4で手を離せば全てO.Kになる。」
誰もか反則をしてるからヒールとなりえる。いかにも鈴木みのるらしい屁理屈のオンパレードだが、鈴木軍の立ち位置も観客の判断に委ねているあたりは、極めてプロフェッショナルらしい意見だ。
「オレたち鈴木軍をどうみようと、どう判断されようと構わない。敵か?見方か?イイモノか?ワルモノか?そんなもの、見てるお前たちが勝手に決めれば良い。」と加えながらも「ただし、オレたちがやっていることはファッションなんかじゃない。 覚悟。 覚悟を持ってやっていることを覚えていて欲しい。。。 」と演出的に乱発されるヒール偏重路線にモノ言いたげだ。ヒールになると志願してヒールになるカッコ悪さ、悪と名乗らずにその上を行くズル賢さは鈴木軍のアイデンティティ、生命線のようなものだが、悪を抱え込む覚悟でヒールを自称するレスラーがどこまでいるか?と考えると、鈴木の言葉には重みがある。
これはファンに向けてのメッセージでもある。
「「鈴木さんってプロレスはヒールだけど、 普段は良い人ですね…」 何言ってんの? どんな姿であっても… いつでもどこでも… 俺はオレだ…」
高山善廣の盟友として珍重な面持ちで募金を募る鈴木みのるに「キャラクターと違う」という意見がネット上でも見受けられたが、あの場でプロレスファンに訴えかけた鈴木みのるもまた覚悟の人そのものだ。「世界一性格の悪い男」という異名に惑わされがちだか、G1横浜大会でのオカダカズチカ戦で見せたフルタイムの魂の戦いも、客をイライラさせる程ズルい鈴木および鈴木軍の戦いにも、強い覚悟が刻まれているのだ。
大阪での矢野通戦はまた鈴木みのるの凄い一面をみれる試合になりそうだ。ベルト持ち去り事件、公開調印式ドタキャンと前哨戦でさんざん曲者、矢野に好き放題やられてきた鈴木だが、ブルロープデスマッチという逃げも隠れもできない環境でどう料理するか。当然矢野もまたあの手、この手と策略を練っていることだろう。鈴木の怒り様を見るにつけちょっとやそっとでは終わらない、憎しみと茶化しが錯綜する壮絶なマッチアップに期待したい。