11月5日の新日本プロレス・大阪大会。例年、この時期の新日は翌年の大イベント「1.4東京ドーム大会」のカード発表や、その流れを示唆するネタが数多く盛り込まれた見逃せない大会である。しかし今年の衝撃度は過去と比べてもかなりインパクトがあるものだった。それはカード編成が過去最大級といったありきたりのものではなく、団体としての方向性、世界へ向けてメッセージを発信するという意味でもかなり重要なものに感じる。
まず最大の事件は、IWGP US王者ケニー・オメガにワールドクラスのスーパースター、クリス・ジェリコが挑戦することが決定的になったことだ。
バレッタとの好勝負を退けた直後に映像でWWEの現役スーパースターがケニー・オメガへの挑戦を直訴。数ヶ月前までWWE US王者だった肩書き、そして日本をルーツに持つレスラー、さらにカナダ出身の勝ち組・・・と、ケニーが今後目標とする道標としてもかなり大きな存在といえる。新日本プロレスの公式ツイッターでは、早くも総合格闘技の豪華カードを彷彿とさせるようなフェイスオフの画像が公開されるなど盛り上がりを見せている。
このカードの存在は新日本プロレスの世界戦略にも大きな影響を及ぼすだろう。今年US選手権を新設、ケニー・オメガがアメリカLA大会で初代王者となり、このベルトを軸に新日本が世界のプロレスシーンにアピールしていく方向性は感じられたが、今回クリス・ジェリコという超大物の招聘により、海外向けに訴求するカードがUS王座を巡り展開されることも予想される。AJスタイルズら同門の海外選手たちが次々とWWEに移籍する中、敢えて新日残留を決めたケニーにとっても大きなプロモーションとなることだろう。今後US王者にケニーVS世界、もしくはタイトル王者が新日本プロレスの世界へ向けた顔の役割を果たすのかもしれない。またクリス・ジェリコに関しては今年の夏前にWWEとの契約が切れフリーになっていたという憶測も流れている。ひょっとすると1.4への電撃参戦から続きがあることも期待できそうだ。
そしてこの大会でももう一つの乱入劇といえば、IWGPインターコンチネンタル王者、棚橋弘至を試合後に襲撃したジェイ・ホワイトの存在だ。一年半前ヤングライオンとして、海外マットへの武者修行に出た若者が、黒ずくめのサイコパスを気取ったダークなイメージで登場。棚橋にシェル・ショックを見舞いKO。現状では何とも言えないがヒールターンを果たして新日本のリングに再上陸したのは確実だろう。
当然ながらリング上で表明したのが棚橋のICタイトルへの挑戦。内藤哲也が保持していた時期には、そもそもの存在意義を問われ続けたICのタイトルだが、ザック・セイバーJrやジェイ・ホワイト、さらには内藤に挑戦したジュース・ロビンソンなどIWGPヘビー級前の登竜門的な意味合いも見えつつある。
ジェイに関しては、今後単独で活動するのか、はたまたどのユニットへ合流するのかなども含めて注目が集まっている。彼がニュージーランド出身ということも考えれば世界戦略ももう一つの顔になる可能性も十分に考えられる。甘いルックスも含め大ブレイクするポテンシャルも感じさせるだけに、今後の一挙手一投足が気になるところである。
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