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 シリーズ累計270万部を売り上げた小学生向けの漢字学習帳『うんこ漢字ドリル』を機に、空前の"うんちブーム"が巻き起こっている。

 8日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、うんちを通して、改めて健康を考えた。

■子どもたちの足が遠のく学校のトイレ 理由は和式トイレ

 ブームの前からうんちの大切さを訴える活動を続けてきたNPO法人日本トイレ研究所は、2007年から王子ネピア株式会社との共催で「うんち教室」を開催してきた。同研究所代表理事の加藤篤さんは「当たり前だが、生きていく上でとても大事なこと。元気よく行きたい時に安心して(うんちを)できるようにしてあげたい」と話す。

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 同研究所が2017年に実施した「小学生の排便と生活に関する調査」によると、「学校でうんちをしない」と答えた小学生は全体の51.3%に上る。なんと、半数近くがトイレを我慢しているという実態が浮き彫りになったのだ。理由として最も多いのが「友達に知られたくないから」で、全体の57.0%。もうひとつの理由として挙げられるのが、便器の形だ。2016年の文部科学省の調査によると、日本の公立小中学校のトイレは和式が56.7%(約79万個)、洋式が43.3%(約61万個)。家庭では少なくなった和式トイレを、子どもたちが敬遠しているのだ。

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 この日、福井県福井市にある市立岡保小学校・幼稚園で開かれた「うんち教室」では、子どもたちに興味を持ってもらうためにうんちの形態別にわかりやすくて可愛らしいネーミングをつけて説明していた。例えば、一番健康にとって理想的とされるバナナ型のうんちは「キラキラうんち」と命名。同研究所の松本彰人さんが演じる「うんち王子」は、「どうやったらキラキラうんちが出るのか。好き嫌いなくご飯をよく噛んでモリモリ食べること」と解説、「ドロドロうんち」「ヒョロヒョロうんち」には注意が必要だと教えた。

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 同研究所では、健康的な「キラキラうんち」に出会うための「3つの約束」を伝えている。

・朝コップ一杯の水を飲むこと

・朝ごはんを好き嫌いなくよくかんでモリモリ食べること

・外で元気よく遊ぶこと

 松本さんが熱心にキラキラうんちの素晴らしさを伝えるうちに、子どもたちの目もキラキラ輝き始めた。さらに、子どもたちが苦手な和式便器の使用法もイラストを用いて丁寧に教えている。

 岡保幼稚園の大越春香教諭は「恥ずかしさのために(うんちに)行けないと聞いているので、排せつというのは誰でもすることなので恥ずかしくないとわかってほしい」と話す。

 「うんち教室」の後に子どもたちに渡されるのは、便の色・硬さ・形などを日記形式で記録する「うんち日記」だ。まず、その日の日付と起床時間・就寝時間を記入する。その他にも「あさコップいっぱいのみずなどをのんだ?」「きょうのあさたべたもの」など食生活についての項目、そして「きょううんちでた?」「きょうのうんちのとくちょう(回数・時間帯・形状)」など排せつについての項目がある。

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 「うんち日記」によると、健康なうんちの場合、75~80%は水分で構成され、残りの20~25%は食べ物のカス・はがれた腸の粘膜・腸内細菌などが占めているのだという。

 加藤さんは、「子どもたちの場合、いいうんちをするために食生活や生活習慣を変える。うんちのために嫌いな野菜を食べたり、うんちのためにわかめを食べてみたりと頑張る子が多い。一番大切なことは、自分の子どもが、もし良いうんちを出したら、大人が褒めてあげること」だと話す。

■『童貞で終わるんだ、俺』と思った」

 大腸がん予防、検診率向上に取り組む消化器外科医の石井洋介さん。日本うんこ学会を設立し学会長も務める石井さんが医師を目指したのは、自身の病がきっかけだった。「潰瘍性大腸炎」、薬である程度コントロールできるものの、未だ原因不明の難病だ。

 石井さんが身体の異変に気づいたのは、中学3年生の時のこと。「血便が出ていたが、それが自分の病気だと思わず『痔かな』くらいに思っていた。病気の知識がないので、(血便を)見てもどう見ていいのかわからなかった。評価のしようがなかった」。

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 原因が分かったのは、高校に入ってからだった。食事制限など、治療に前向きになれなかったと石井さん。「最終的にステロイド浣腸という、お尻から入れる薬(を入れる際)、その圧力がかかりすぎたみたいでその日6リットルくらい出血したらしい。人間の体には血が6リットルくらいしかないので、ほぼ入れ替わったことになります」。

 大腸に穴が空き、命が危険な状況になったため、19歳で大腸を全摘出をした。当時の写真を見ると、手足は骨が浮き出るほど細く、50キロ以上あった体重は30キロ台にまで落ちた。自身の肛門に便が届かなくなるため、人工肛門が一生必要だと告げられた。腸の一部を腹部に出し、パックのような装具を取り付け、そこに便を溜める。

 「ギョッとしたというか、ショックだった。当時は彼女もいなかったし、これをつけていたら一生(セックス)できないよな、と。『童貞で終わるんだ、俺』と思った」。

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 石井さんの腹部に今も残るのは、十数年前の19歳の時に受けた大腸全摘出と人工肛門装着の手術痕だ。後に医療技術の進歩で人工肛門を外せることが分かり、人生が大きく変わり始めた。「技術の差で人生が大きく変わるのなら、そのような技術を身につけられる人が多いといいなと思い、それで自分が医者になろうと思った」。

 20歳から苦節10年余り、2012年に消化器外科医になった。今ではお酒を飲んだり、8時間立ち続けて手術ができるほど回復したという。

■美少女キャラやアプリでうんこの大切さ訴え

 患者と医師の両方の立場を経験して石井さんが痛感したのは、うんこの異変にいかに早く気づくかということだった。「外科医になればみんなを助けられると思ったが、いくら僕が頑張っても助けられないことがあるという現実にも直面した。だったら、もう少し病気を早く見つけられるようなことに貢献できないかと思った。患者さんに『便に変わりなかった?』と尋ねると、『ちょっと細くなっていた気がする』など、だいたい異変に気づいていた」。

 手遅れの患者を少しでも減らしたいという強い想いから、2013年に日本うんこ学会を設立。キャッチフレーズは「うんこで救える命がある」。「うんこ」というキーワードを使おうと思ったきっかけはSNSだった。「ツイッターの2大バズワードが『うんこ』と『おっぱい』だと聞いた。ひとりの医者がどれだけ市民公開講座で伝えても伝わらないことを伝えようと思ったら、そういうもの(バズワード)を使わなければと考え、『うんこ』を使って拡散しようと」と話す。

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 そんな自宅には学会の荷物が山積み。ほとんどに美少女キャラがあしらわれている。実はここにも石井さんの狙いがある。「患者だった自分に(情報が)どう届くか、届けられるのかを意識している。(療養)当時自分がトイレでやっていたのが、ゲームだった」という石井氏は、現在大腸菌擬人化スマホゲーム『うんコレ』も開発中だという。自身の便を観察する「観便」が課金の代わりとなるというユニークなアプリだ。

 「しっかり水分をとることも大事。もうひとつは、運動。腸に栄養を与えている血管はとても細く、すぐ血流不全になる。よく動くことで血流がよくなり、腸の動きもよくなる」「初期症状が便からしか出ないというのが消化器疾患の特徴だ」と語る石井さん。これからも排せつ物を観察する重要性を訴え続けていく。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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