11月12日、ディファ有明で行なわれたパンクラスのメインイベントは凄まじい打撃戦になった。
王者・ロッキー川村も挑戦者・新村優貴もストライカー。新村はキックボクシング出身で、K-1に参戦したこともある。一方のロッキーはプロレスでも活躍中だ。両者は1年前に王座決定戦で闘い、その時はロッキーがKO勝利。新村にとっては今回がリベンジ戦となる。
星条旗柄のタイツ、試合ではほぼパンチ一辺倒、勝って「エイドリア~ン!」と絶叫するなど、何から何までロッキーなチャンピオンは、何よりもファイトぶりがロッキー。今回も1ラウンドこそ間合いを取って様子見の状態だったが、2ラウンドにはダウンの応酬。グラウンドでパンチ連打を浴びせる場面も。
しかし打ち合いなら新村も望むところ。しだいにパンチで上回るようになった新村は、2ラウンド終了間際にKO寸前までロッキーを追い込んでみせる。さらに3ラウンドもお互い勝負をかけて真っ向からの打ち合い。新村はロッキーに金網を背負わせ、最後は右フックで沈めてみせた。
フィニッシュは新村自身も勢い余って倒れるほどの強烈なパンチ。ロッキーの「今回は再戦、『2』だから(映画の『ロッキー2』と同じで)ダブルノックダウンになる」という予告が形の上では現実になった。
しかし勝ったのはロッキーではなく新村。リベンジを達成してチャンピオンとなった新村は「格闘技を14年やってきて、初めてベルトを巻きました」と感極まった表情を見せた。また「これからは一つでも多く防衛を重ねたい」とも。
この日のセミファイナルでは、元修斗世界王者の上田将勝がブラジルのアラン“ヒロ”ヤマニハと対戦。今年40歳になる上田はバックを取られる場面もあったが、レスリングを始め安定した力を見せ、トップをキープして優位に試合を進める。最終ラウンドにもグラウンドでバックを取られかけたが、すかさず回転すると体勢を逆転。そこからストレートアームバーを極めて一本勝ちを収めた。バンタム級ランキング1位の貫禄を示した上田は、これで昨年11月から4連勝。メインの新村、ロッキーとともに、キャリアのある選手が輝きを放つ大会となった。