衆議院選後、「謙虚な姿勢」と「丁寧な説明」を強調した安倍総理。11月14日に新設が認められた加計学園について、その是非を議論する国会審議が、質問時間を巡って混乱している。
そもそものきっかけは、自民党の若手議員が質問時間を増やして欲しいと申し入れたことだった。慣例では与党2割・野党8割としてきた質疑時間の配分を、5対5にしようという主張だ。しかし、これまで与党は持ち時間を余らせることもしばしばあり、野党も"チェック機能が働かなくなる"、"議会制民主主義の破壊だ"と反発。結局、国会冒頭からの混乱を避けるため、衆院文部科学委員会では与党1:野党2の割合で合意。しかし菅官房長官は会見で「議席数に応じて質問時間を配分すべき」と述べ、自民党もこれを足掛かりに、他の委員会でも配分の見直しを広めていく構えを見せている。
質問時間配分の推移については、2009年の自民党政権時代に与党43%・野党57%だったのが、2012年に下野した自民党が増加要求をしたことで与党20%・野党80%になったという経緯がある。11月11、12日に朝日新聞が行った世論調査では、自民党の野党質問削減案に反対と答えた有権者は全体の55%、賛成は29%だった。
希望の党の外交・安保調査会長に就任した渡辺周衆議院議員は「世論調査を見れば好ましくないという答えの方が多い。野党の質問時間が増えれば追及されることも増えるので、その"質問封じ"だ。もうひとつ、あるジャーナリストが言ったことだが、入口に高いハードルを設けて、入口から揉めさせて結果的に審議が先送りされるようにしている高等戦術ではないかと。結局、そんなことなら委員会は開けないと言ってどんどん流してしまう」と政府与党を批判する。
「議席数よりも票数で質問時間を配分すべきだ」と主張するのが、小池元代表の元側近で、先日政界引退を発表した若狭勝氏だ。「議席数が多くなるのは小選挙区独特の事情がある。得票数よりも議席数の方がぐんと多くなってしまうという選挙制度の問題点がある。議院内閣制をとっている以上は、やはり与党側が出してきた法案はすでに与党内でしっかりと審議されているものであるべきで、国会で野党に厳しく追及されることが国民のための活性化された国政だと思う。そういう意味で、勝ったことで自民党に謙虚さがなくなりつつあることの現れではないか」と指摘した。
また、若狭氏は野党側の質問の仕方にも改善の余地があると話す。「予算委員会で野党の時間が多い場合も、予算以外の質問、例えば森友・加計学園問題などで相当時間を費やしている。一般国民からすると、予算委員会は予算を話すところではないのかという素朴な疑問があるだろう。そういう意味で、国会のあり方を考えなければならないのも確かだ。そういう(森友・加計学園問題)問題については別の特別委員会を設け、そこで十分に審議するべきだ。予算委員会で野党が関係ない質問をワーッと沢山しても、国民はなんか違うと思うはずだ」と述べた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)