
新党大地代表の鈴木宗男氏、69歳。政界に足を踏み入れて、およそ35年が経つ。かつては自民党に所属し、北海道開発庁長官や党総務局長などの重要ポストを歴任した。その一方、"疑惑の総合商社"と糾弾され、2002年、北海道開発局発注の公共工事で業者に便宜を図り、およそ1100万円を受け取ったとするあっせん収賄容疑などで逮捕された経験も持つ。

「私は逮捕されて、437日間東京拘置所にいた。拘留されていた。戦後最長だ。権力闘争だと思っている。当時私は、抵抗勢力と言われた。権力の凄さ、怖さを知っている」。
弁護側による再三の保釈請求に対し、東京地裁は「証拠隠滅の恐れあり」として却下。437日という異例の長期拘留となった。

「私が出てきて訴えたのは取り調べの可視化。狭い部屋で検察官と被疑者・容疑者として向き合う。私はそんなことはなかったけれどテーブルを叩かれたり、脅されかけたりする。『お前ら鈴木に言われたな』『鈴木から金もらったな』と検察は私を責めるのと同時に、私の周囲も責める。一般の人には『お前たちは何言っても罪にならないぞ。こっちの狙いは鈴木だ』と。こうくると、みんな『ここは検察とうまくやった方がいいな』となる。こうやって嘘の証言になってしまう。だから今、私は再審請求をやっている」。
■東京オリンピックでは北方四島でも聖火ランナーを!
5年ぶりに公民権が回復した宗男氏は、先月の衆院選に出馬した。原動力は一向に進まない日本とロシアの外交関係だったという。
「1951年、サンフランシスコ講和条約で日本は国際社会に復帰した。この時、吉田茂総理は国後と択捉、全千島(列島)を放棄している。それとサハリンも放棄している。そして国際社会に復帰した。それを3年後、当時の森下國雄という外務政務次官が、放棄はしていないというすり替えの議論を始めて、今に至っている。そのため、国際社会の議論になると(このすり替えは)通用しない。だからこの点をもっともっと勉強しなければいけない。1956年、日本とソ連が国交回復した。その時の共同宣言に書いてあるのは、『平和条約締結の後に歯舞群島と色丹島はソ連の善意で日本に引渡しをする』。これが唯一の領土問題で担保されている条件で、国後、択捉は触れられていない」。
ゴルバチョフ大統領には話し合いで北方領土問題を解決しようという姿勢がみえたというが、プーチン大統領には返還する気はあるのだろうか。
「1991年、"領土問題はなし"というのがソ連の受け止め方だった。だから日本は四島一括返還と言っていた。ところがなんと、ミハイル・ゴルバチョフ大統領が4月に来て、海部総理との会談で島の名前を挙げて、これは話し合いで解決するべき問題だと言ってくれた。そのゴルバチョフさんは半年後に失脚した。そして、"1956年宣言は日本の国会も批准している。ソ連の最高会議、今のロシアの国会に当たる所も批准している。これは法的拘束力のある義務だ"。これが一貫したプーチンさんの考えだ。返ってくるとしたら、東京オリンピックの前年だと思う。やっぱり北方四島から聖火ランナーを走らせないと。世界に向けて、NHKのアナウンサーが実況する。『いま平和の祭典に向けて聖火ランナーがスタートした!みなさん!なんと、そのスタートラインはあの択捉島だ!!』と」。
■政治活動「一番の難関は女房の説得」
「北朝鮮に一番影響力を持っているのはロシアだ。中国じゃない」と話す宗男氏。
「プーチン大統領も習近平も、少しでも穏やかになるように北朝鮮をサポートしてきた。ただ、ミサイルまでは良いとしても、核実験までやった。これにはプーチンも非常に苛立っていると思う。少なくとも『俺も中国も、お前のことを心配してアメリカを牽制したり、なんとかソフトランディングさせるよう考えてきたのに、この野郎』という思いがあると思う。(もし本当に怒ったら)『アメリカさん、どうぞ』となるだろう」。
月に一度は安倍総理と会っており、先月も官邸に呼ばれたという。そこで安倍総理はプーチン大統領とのさらなる信頼関係を深めていく決意を示したという。しかし、宗男氏から見れば安倍総理にも弱点があるという。

「安倍さんに言うことがあるとすれば、『もっと強い安倍総理でいてください』と言うこと。人が良すぎる。冷徹さが必要。ちょっと人がいいというか、優しすぎてみんなの顔を立てすぎる。逆にそれが総理に降りかかってきている部分がある」。
"昭和の政治家"というイメージも強い宗男氏だが、「人一倍私は仕事をしたし、頑張った。ただ自然体だった。それが誤解された。なんかギラついていると。その時、私は365日休まず働いていた。政治家にとって大事なことは正直でないといけない。正直でないと」。
そんな宗男氏が最も恐れているのは、典子夫人だという。「(政治活動への)一番の難関は女房の説得だ。女房は『あんたはもう賞味期限が切れている』と。厳しい。私は元気があると思うのだが。女房は女房で『昼間そんな元気があるなら、夜の方も元気を出して欲しいな』と(笑)」と冗談交じりに語る。

7年ぶりの国政復帰は叶わなかった宗男氏。しかし今後の選挙への出馬に関しては「私は生涯政治家だから。松山千春さんの意向なんかも、十分"忖度"しながら判断したいと思っている」と、北海道、そして日本への熱い思いは微塵も衰えていない様子を伺わせた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


